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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第二巻七回  毀誉褒貶
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
ではゆるゆると綴らせて戴きましょうか。

やおいを論ずる時、論者の立場の内外と言うも
のは無論ございますがその他にも確実に存在す
るものがあります。
やおいに対する極端な毀誉褒貶です。これはネ
ットの内外を問わずございますね。やおいに対
する中庸な評価と言うものは、寡聞ながらネッ
ト以外では余り拝見した事はございませんが。
始末に負えない事にこの毀誉褒貶、内側にいる
人間の自嘲や自画自賛の枠を軽々と超えてしま
っていたりします。そこからやおい以外の何か
を論ずる事に路線変更しようとする例もあり、
この論者は読者を何処へ連れて行こうと言うの
だと目を通していて相当な不安を感じる事もご
ざいますし。
筆者もやおい論を幾つか読んで参りましたが、
納得出来るやおい論とは本当に少ないですね。
長年この世界にいらした方が書かれたやおい論
でさえも実は先述の姿勢の枠内であったと認識
した時、深く溜息を吐くしかございませんでし
た。俯瞰ではなくてピンポイント論と言う印象
もございますね。論じられた事象を考証する為
の資料を横に置かないと論者の言葉に飲み込ま
れて翻弄され、疲弊してしまうと言う場合も時
にございましたし。
やおい論=やおい史概論ではないのですから仕
方ないと言えば仕方ないのですが、傍註が煩わ
しいならせめて文末註をある程度詳細に、と言
う思いは常にございました。逆にどうでも良い
部分にどうでも良い註が付いている事もござい
ましたね。その傍註分内容の充実を願ってしま
いましたが。
実際、やおい論を経由してやおいを論じる事程
疲れるものはございません。自分以外の妄念を
丸々背負ってその上で考証等を進めないといけ
ないのですから。自分以外の視点に憑かれてい
るのですから当然見方も変わります。
やおいを論じる際には(論じるきっかけが愛憎
いずれか問わず)やおいとは適度な距離を置い
て、また既存のやおい論とは更に距離を置いて
話すが吉ではあるまいか、と。
やおい語りなら幾ら主観が入り込んでいたとし
ても傍からは微笑ましく観られましょうが、論
ずる時に自らの主観他者から背負わされた妄念
に入り込んでいるのは禁物でありましょう。何
処かに一本線を引いて置いてこそ論は成立する
のであって、論にかこつけた物言いと言うのは
失笑しか誘発しないでしょうから。
その点から観ますとネットを舞台として展開さ
れているやおい語りやおい論の多くはネット以
前に比べると程好い距離感をお持ちな方々が書
いておられる感がありますので一読者として安
心しています。
乱雑な考えを乱暴な物言いで述べられる方も時
にはいらっしゃいますが、それはそれでどこか
に筋さえきちんと通っていれば一つの芸風と言
うもの。筋が通っていなければ相応のあしらい
が待っているだけの話です。論争の行き着く先
が最終的に只の言い負かし合いになっていたと
いう例もあります。論者がその場で言い負かし
合いに勝ったからと言って、それが即座に論の
優劣に結びつくとは限らないのですが。
それはやおいを語るに限った事ではなく、ショ
タを語るに於いてもボーイズラブを語るに於い
ても同じ事。論者はあくまでも論者でしかない
のです。それ以上にも、以下にもなれません。
筆者自身も実際の所、まだまだやおいの全体を
判っている訳ではありません。日々見聞する中
にはまだまだ理解の為のヒントがあり、事象も
留まっている訳ではなく速度の違いこそあれ進
化し続けています。この考え方で全てを処理で
きるだろうと高を括っていると、思わぬ所で竹
箆返しを喰らいますので適度な距離感を保ちつ
つ矢張り観続ける日々は続きます。
この微妙な緊張感が結構快感であったりもする
のですが。それこそ「知」の快感でございます。
もしも貴方が論者を志すならば、常に乾いたス
ポンジの様な好奇心を持ち続けて下さい。そし
て、他の論に飲み込まれない様に、常にある程
度の距離を保つ様にして下さい。
読者としての視点を保っておく事も忘れずに居
て下さい。作品達を愛する為にも。
そう。論者の仕事は点数を付ける事だけではあ
りますまい。可能性が光っていれば其れを健や
かに育てる事もまた其の仕事の内だと筆者は思
います。
心安らかにやおいを愉しむ為にも、心得は肝要
かと。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。次号まで、御機嫌宜しゅう。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第二巻七回 2005.3.10発行

文責:葡萄瓜XQO
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