★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
☆
第三巻弐拾参回  名残の道筋
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
さて、つらつらと綴って参りましょうか。

唐突に質問です。
国立国会図書館に残っているショタやおい関係
の雑誌、どれだけあると思われますか?延べの
冊数ではなく誌名毎のカウントでお考え下さい。

この稿を起こしながら確認をしている最中なの
ですが、正直申し上げて芳しい結果は得られて
おりません。恐らく全巻に近い状態で揃ってい
るのは『JUNE』『小説JUNE』(共にサン出版→
マガジン・マガジン)及び『シャレード』(二
見書房)『テディ・ボーイズ』(竹書房)辺り
程度ではありますまいか。『ブレス』(ひかり
出版)が一部とはいえ所蔵されているのが奇跡
な程です。
私事ではありますが、筆者はかつて『蒼き狼た
ちの伝説』と言うオリジナルアニメ作品のデー
タを収集しておりました。其の漫画化作品が
『manga純一』(光彩書房)に掲載されていたの
でございますね。しかしながら、国立国会図書
館で『manga純一』を閲覧する事は出来ません。
蔵書として存在していないからです。オンライ
ンNDL-OPAC検索に出て来ないだけかも知れませ
んが。

嗜好に関する図書の事でございますから公的機
関の手を煩わせるのが煩わしいと言う気持ちは
重々想像出来るのです。然しながら個人蔵と言
う事で考えたとて限界はありましょう。
ショタ漫画のオリジナルアンソロジー収集につ
きましては高名な好事家が数名(註1)いらっ
しゃるからそれでもまだいざ言う時の補完は出
来ましょう。
では、それ以外の資料はどうなるか?雑誌形態
の媒体の中でも三号以下の巻数しか出ていない
ものはどうなるのか?それらのデータが幾許か
残っていればまだ名残は辿れましょうが、凡そ
は残っていないのです。
それでも幸いな事に、関連雑誌の創刊号の極一
部に就いては情報提示をして下さっている先哲
(註2)がお出でです。そこから何とか辿る事
は出来ましょう。
但し、重ねて申し上げます。そこで提示して戴
いているのは多分一部の情報にしか過ぎないの
です。後の情報は誰かが引き上げない限りデー
タの波間に沈んでいるかと思われます。
筆者も断片的にではありますが雑誌の収集はし
ております。しかしながら、諸事情により必要
最低限と言う選択を介在させざるを得ない状況
もあります。
やおいショタの流れが花火の様に一瞬だけのき
らめきを見せたものであったなら、一炊の夢と
嘯く事も出来ましょう。しかし、少なくとも人
ひとりの半生分程度の時間は流れています。ボ
ーイズラブと言う言葉が生まれてから15年、シ
ョタコンと言う言葉が生まれてから25年と言う
月日が既に流れているのです。やおいに至って
は恐らく定義されてからで確か27年です。
其の合間にあった色々な事をきちんと回想する
為には、やはり資料の流れと言うものも必要に
なってくるのです。
全巻揃えずともポイントポイントを押さえれば
良いではないか、と言う声もあるでしょう。筆
者が今やっている方法が正しくそれです。しか
し、この方法には欠点もあります。それは資料
の流れを予め仮定する若しくは熟知しておかな
いと点を結んで線とする事が困難になるという
点です。ジグソーパズルのピースを嵌めこむの
と同じやり方だ、と申し上げればイメージを抱
いて戴けますでしょうか?

筆者がショタやおい方面において資料補完の必
要性を感じたのは先述した『蒼き狼たちの伝説』
の一件からでした。
初出から10年も経っていない(註3)情報の
行方が判らないと言う事に愕然としたのを今で
もハッキリ覚えております。
情報の初出が何処か、と言うのは些細と言えば
些細と言えてしまう問題でしょう。
しかしながら、其の些細なものを礎として論を
張ろうとしたならば、同じ様に嘯けますか?
論に礎を求めるならば、礎の存在を疎かにする
事は許されますまい。
筆者はこれからも恐らく資料を尋ね歩く事でし
ょう。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
では次回配信まで、御機嫌宜しゅう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
註1
代表的な仕事として、逆凪真言氏管理『逆真言
計画』内「資料館」を挙げておきます。
『”ショタアンソロジー誌”の変遷』の題の元、
見事なデータベースとなっております。
(URL省略。検索でご確認下さい)

註2
『ガバチョの部屋』内「JUNEコミック」「JUNE
小説誌」参照。書影及び簡略な内容紹介を備え
たデータベースです。
(URL省略。検索でご確認下さい)

註3
拙Web頁 
やおい事典の編纂過程
〜『蒼き狼たちの伝説X』をサンプルに〜
(2003.7.30)
http://xqo.at.infoseek.co.jp/menu/essei/y-dic_e01.htm
を参照して戴きたく。

=======================
仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第三巻弐拾参回 2006.12.10発行

文責:葡萄瓜XQO
website:『仇花の記憶』
http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/
mail:xqo_gm@yahoo.co.jp

このメールマガジンは
melma! 
http://www.melma.com/backnumber_90840/
メルマガ天国 
http://melten.com/m/14637.html
Mailux
http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533
メルカップ
http://www.melcup.com/cgi-bin/magazine/magazine.cgi?mag_id=M000000737
のシステムを利用して発行させて戴いています。

ご意見ご質問等はWebサイトBBS
http://otd11.jbbs.livedoor.jp/adabana/bbs_tree
にて承ります。
又連動BLOG「ショタやおい雑記」も運営しております。
http://xqosy.seesaa.net/
こちらも宜しくお願い致します。

バックナンバーはサイト内にて公開しております。
再配信ご希望の場合はお手数ですがメール若しくは
BBSにてご用命戴ければ幸いです。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

back   配信済top   次回配信分