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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第五巻九回  葡萄瓜XQOの創作作法
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
さて、つらつらと綴って参りましょうか。

今回は、葡萄瓜XQOが創作屋としての自分自身に
課している作法を開陳し、無聊の慰みに供しよう
と思います。何某かのお役に立ちましたら幸いで
す。

さて、やおいショタBoy'sLoveは一種のファンタ
ジーであるという標榜は良くある話でございます
が、ファンタジーであるからと言って創作として
の出来に対する評価に割引が利くかといえば決し
てそう言う事はございますまい。寧ろファンタジ
ーであるからこそ創作としての出来を強く問われ
ると覚悟するべきではないか、と個人として感じ
ております。これはツールとして使うものに対し
ても同じ考えが適用出来ましょう。
だからこそ筆者は愚考するのです。ファンタジー
には薀蓄ではなく相応しい空気とその世界の中で
の辻褄が欲しいと。
薀蓄を幾ら並べ立てたとて血肉が通った言葉で無
ければ空しく通り過ぎてゆくだけに過ぎません。
寧ろそれならば綻びが少々あろうがそれなりの空
間配置が説明無しにでも理解出来る様に設定され、
人々の行動様式がその空間の中では決して不自然
には見えないと他の次元の人間が納得出来る様な、
そう言う確固たる一本の筋が通っていた方が安心
します。
借景なら借景でも良いのですが、其処に自分なり
の設定を加える腹積もりならば只継ぎ合わせるの
ではなく継ぎ目が判らぬ様に馴染ませる工夫を施
すのもまた儀礼ではありますまいか。
それこそ借景の原型の様式を踏襲するなり、或い
は借景と同じ空気を持つ世界を媒介にして何かを
導入するなり、です。
時代劇とSFのリンクもそう考えると可能なのです。
継ぎ目さえ上手く融合させる事が出来るなら。

さて、物語の登場人物と言うのは物語の中では決
して「素」ではありません。「素で在る様な」芝居
を演じているのです。長短の尺は違いますが。
ですから「素」を演出する為には当然それらしい
理屈付けが必要です。その理屈付けの表現をどう
演出するのかが作風の違いに繋がるのであろう、
と筆者は愚考します。
薀蓄披露を否定した前言と反する物言いに聞こえ
るやも知れませんが、説明文体もまた一種の演出
としてはアリです。そう言う文体が似合う様な作
品世界の空気を醸し出せば良いだけの話なのです
から。
飲み物一つ持ち物一つに関する癖を描き出すだけ
でも、人物像の血肉の通い方は違います。血肉の
通った人物像にはそれだけ親しみも涌き、又物語
の要素として認識し易くなります。
登場人物は作者の書いたシナリオの説明役ではあ
りません。シナリオに基づいた芝居を演じる役者
なのです。役者の演技を作者が膨らませる様にし
ていくのも大事なのです。
極端な話を言えばコーヒーの飲み方一つで受攻の
立ち位置を表現する事も恐らくは可能でしょう。
或いはその愛情表現の程度を描写する事も、恐ら
くは可能かと。

道具周りに物語らせる、と言うのも一つの手法で
すね。例えばマグカップに微かなひびが入ってい
たとして、そのひびを描写する事で受攻の関係の
深浅を描く事も出来ましょう。ひびがごく新しい
ものなのか、それとも茶渋が静かに沈着して微か
に見えるのか、それとも、しっかりと見えてしま
うのか。そこから物語を始める事も出来ましょう。
筆者が物語を書き始める切欠には、そう言う日常
の些細な綻びに端を発する妄想が大いに関与して
います。
その妄想を何処まで膨らませるか、逆に言えば何
処で発酵を止めて味わいの加減を決めるか。その
匙加減は主題によって決める事もありますし、展
開の経路によって決める事もあります。
ただ、一つ原則として。
小品に相応しい主題はそれに相応しい紙幅で抑え
るべきと筆者自身は自身に課しています。小品の
味わいを調整せずに紙幅を増やしてみた所でそれ
は味わいの薄い長編もどきにしかなりません。箸
休めとは言え一品は一品でございますので。

まあ、凡そこう言う所でございましょうか。
基本は娯楽として読んで戴く為のものでございま
すので、お気軽に南京豆のつもりでつまんで戴け
ればそれで幸甚かと、はい。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
次号配信まで、御機嫌宜しゅう。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第五巻九回 2008.5.10発行

文責:葡萄瓜XQO
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