★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 ☆ 第七巻四回 小説「もちつもたれつ」 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 御機嫌よう。葡萄瓜でございます。 小説配信回、お楽しみ戴ければ幸いです。 ○●○ もちつもたれつ XQO 目の前で珈琲を飲みくさっている男と初めて 連れ立って歩いた朝が何時だったかなんて、嫌 と言う程はっきり覚えている。小学二年一学期 始業式当日の事だ。何故ならこの男の寝起きは その当時最悪だったから。 そこから延々十一年間、雨が降ろうが槍が降 ろうが一緒に登校し、暗黙の内に夫婦扱いされ る様になってしまったが特に抵抗が無かったの で訂正しないで置いた。厳密に言えば一箇所だ け訂正があるんだけどな。布団の中の役割分担 についてだけ。 で、今や同居するにまで至っている訳だが… あれおかしいな。当初の予定では俺が朝の準備 を概ね済ませてからこいつを叩き起こす事にな ってた筈なんだが、何で俺はこいつに起こされ て不承不承起きて蜂蜜を多目に入れたカフェオ レなんぞ飲んでいるんだろう。しかも朝の仕度 は俺が口を挟む余地が無い程完全に出来ている し。 これが同居して以降週一回あるかないかの出 来事だと言うなら多分俺も百歩譲った上で納得 してるんだが、同居開始から今日までの二年間 少々の間、この光景が崩れた事は一度として無 い。前夜にどう言う事があろうと翌朝にはこの 光景が展開されるので一回『この男は肉体を機 械仕掛けに換装したのだろう』と思い不意打ち でシャツを捲り上げた事があった。無論そんな SFみたいな事が現実にある訳も無く、俺自身 にもそれ相応の仕打ちが返って来た訳だが。 うん。はっきり言ってずるい。ここまで出来 るんなら最初からやっててくれ。そう言う相手 に世話焼いて優位に立とうなんて思ってた俺が 馬鹿みたいじゃないか。下心付きの純情をちょ びっとは返却しやかれ。この莫迦。 無論こいつにもそれなりに不精な所はあって、 その辺は俺がフォローしているけど正直フォロ ーの比率は明らかに俺がされている方が多い。 そう言えば不純同性交友開始直後辺りにもなん となくまめな所はあったよな。俺の分まで事の 後始末をしてたとか。そんな事をされるのはフ ィクションの中だけだろうと思っていただけに 自分がされて気恥ずかしいやら名状し難い気分 になった。気持ち良いのでそれから異論を挟ま れない限りは甘えてしまっているけど。 で、時々怖くなる。こいつはここまで俺を甘 やかして何を得るつもりなんだろうかと。いや、 こいつの気持ちを疑っている訳じゃない。率直 に言えば罪悪感みたいなものだ。ここまで才能 の無駄遣いを俺限定にされては、俺自身自分の 価値を疑ってしまうのもある。ここまでされて 良い人間なのかどうかってね。ここまでの奉仕 を捧げられる価値は果たして俺自身にあるんだ ろうか。思いはしてもこいつに問い質す事は出 来ない。多分笑ってはぐらかして、そして日々 の泡の一つとして紛れてしまうだろうから。 たまには相方に世話を焼かれたいと思いつつ 結局世話を焼いてしまっているというのは、き っと昔の反動なんだろうな、と思う。 昔おれが何故相方に世話を焼かれていたかと 言えば、自分で遣りたくても何もさせて貰えな かったと言う環境故になんだろう。自分で遣る べき事の下準備までお膳立てされていた環境の 中では、そりゃ甘えたにもなってしまうんだろ うな。だから相方が同居しようと持ち掛けてく れた時は本当に嬉しかった。相方と四六時中一 緒なのも嬉しくはあったが、それ以上に自分で 計画を立てられると言う事への期待感が大きか ったから。 で、いざ自分でやってみると…疲労感よりも 満足感の方が現時点では大きい。相方云々が満 足感の原因じゃないのが多分世間的には残念か も知れないけど。 相方の負担がこっちの一動作で少なくなって いるなら、それに越した事はないけどね。実際 の所はまだ少しいじけさせてしまってる現状だ から。相方の計画してた青写真も魅力的ではあ るんだけどさ、問題はそれをこの人が持続させ る事が出来るかどうかであって。ぶっちゃけ、 この人に今のおれと同じ事が継続して出来るか どうかと言えば否と答えた方が早いと思う。実 行されていたら多分去年辺りからなぁなぁ済し 崩しの状態が続き、二人してまだ繰り返して着 る事が出来る下着を探す破目になってしまった だろう。いや、そう言うのもこの人と一緒に遣 るなら楽しいだろうけどさ。ただ社会人として の矯正期間を挟む必要が出てくるんだろうな。 そろそろ安心して甘えてくれないかな。これ からおれも改めて気分的に寄り掛かりたくなる んだし。持ちつ持たれつ再びって事で。 そして、二つ並んだマグカップの湯気は今日 も静かに混ざっている。 【了】 ○●○ さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて 戴きます。 ここで一つ喧伝を。 来る3月21日(日)、大阪・シキボウホール7階 展示室にて開催されるショタオンリーイベント ・CUTE☆8にて『ショタコンのゆりかご』最新版 を頒布させて戴く運びとなりました。 今迄同様無償頒布形式となります。 ★ 『ショタコンのゆりかご』最新版 二冊分冊・B5版・オフセット版 本編:縦組三段・表紙除く本文17頁・無線綴 【表紙色:若草】 + 資料附表:横書・表紙除く本文8頁・無線綴 【表紙色:レモン】 無償頒布。 ★ お気軽に御高覧戴けましたら幸いです。 また、当日筆者は創作サークル『三朗佐』構成 員としても参加しております。 そちらもよろしければ御高覧下さいませ。 次号配信まで、御機嫌宜しゅう。 ======================= 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 第七巻四回 2010.2.25発行 文責:葡萄瓜XQO website:『仇花の記憶』 http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/ mail:xqo_gm@yahoo.co.jp このメールマガジンは melma! http://www.melma.com/backnumber_90840/ Mailux http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533 おしらせメールサービス http://www.marine.ne.jp/mm/user.asp?id=75297 Yahoo!メルマガ http://merumaga.yahoo.co.jp/Detail/17353 まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000270330.html E-Magazine http://www.emaga.com/info/adabana.html のシステムを利用して発行させて戴いています。 ご意見ご質問等はWebサイトBBS http://otd11.jbbs.livedoor.jp/adabana/bbs_tree にて承ります。 又連動BLOG「ショタやおい雑記」も運営しております。 http://xqosy.seesaa.net/ こちらも宜しくお願い致します。 バックナンバーはサイト内にて公開しております。 再配信ご希望の場合はお手数ですがメール若しくは BBSにてご用命戴ければ幸いです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆