★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
☆
第八巻拾六回  小説「恋心について」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

**第七巻弐拾号より横幅を
         若干拡げて配信しております**

****

3月11日に発生しました東北地方太平洋沖地震(東北
大震災)にて罹災した皆様方に心からお見舞い申し
上げます。
居住地の差異の為たまたま罹災しなかった筆者に出
来ます行動は限られておりますが、幾許かが皆様の
潤いに繋がりますならば幸いです。

****

御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回、お楽しみ戴ければ幸いです。

○●○

   恋心について
                   XQO
                                
 何でアナタの様な厭世主義者と所謂世間で言う恋
仲を続けているんだろう、と吾ながら不思議になる
瞬間が未だにある。しかもアナタとの関係継続時間
はおれの中で最長記録だったりするんだな、これが。
  まあ、こっちから口火を切って始めちゃった関係
だからと言うのは少しある。お互い初めてではない
にせよ一線を越えてしまったのもおれの方が焦れて
の事だったし。
  ただ言えるのはおれが惹かれたのは厭世主義に溺
れるアナタじゃなくてその反動でハイになっている
アナタだったと言う事だろう。その瞬間は本当に少
ない。正に希少価値だ。だからこその美しさ凛々し
さに溢れているものだからそれでつい惚れ直してし
まうんだろうな。
  だからと言ってそうじゃない時のアナタに惚れて
いないかと言うと実は判断が難しい。人間の翳りは
恋心のスパイスだとか何とか言うつもりは無いけれ
ど、静かな言葉で世を厭うているアナタは多分好き
だ。ただ世間を説明不可能な屁理屈で罵っているだ
けの浅薄なアナタは嫌いだけど。
  最近はむしろそう言う心のバランスをとるのもき
っと恋なのだろうと考え始めている。百パーセント
純粋な人間がいない以上百パーセント純粋な恋愛も
多分ありえない。二人分併せて計算調整した上で百
パーセントになるのならそれで良いのかな、と思う
んだ。
  さてこう言うおれの言い分、アナタの言う偽善に
入るのかな?そうなら愛想尽かしされても仕方ない
かも知れない。おれはアナタを想い続けるけど。
  断っておくけど計算なんてする余裕は無いよ?計
算ずくでアナタと寄り添う事が出来るなんてカケラ
も思っていないから。アナタを利用しようとして自
分勝手にしくじって全部アナタの所為にして立ち去
って行った愚か者の群れを見慣れちゃってるしね。
そう言う人を相手に一々計算しながら出方を変える
なんて器用な真似、おれには出来ない。不器用だし。
  多分おれバカだからアナタの傍に居られるのかも
ね。だったらおれ自分の愚かさに感謝しなきゃ。
  最初は正直言うと好奇心だった。アナタは今まで
おれの認知する世界には居ない種類の人だったし。
ぶっちゃけ観察対象?世界の外から眺めていたい種
類の人だったって認識してた事は今更否定しない。
  それを笑顔一つで覆してしまうアナタは本当にず
るい。あの一瞬をまた見たくなって結局ずるずると
今日に至ってしまってる訳で…うん。あの一瞬以上
のものをかなり見れてるんで満足はしてるんだけど
ね、うん。アナタの寝起き顔のレアさといったらも
うね…それだけでとりあえず心の疲労回復は充分に
出来てしまう。それ以上を求めるのは自分の中の雄
を正視したく無いからしないけど。
  ま、それだけの価値が少なくともおれにとっての
アナタにはある。若しかしたら他の連中も同じ程度
の価値をアナタに見出してるのかも知れない。でな
きゃアナタの周りの人だかりは一寸説明し難い。そ
いつらと面と向かってそう言う話をした事は今まで
一回たりとて無いけど、最近はなんとなく察してる。
こいつらとおれって多分類友だなって。そう言う感
覚はいざ実感してみると実に楽しい。独占欲とかそ
う言うものを振りかざす前に先ず自分の審美眼って
奴を自慢できるから。おれはこの人に惚れてるんだ
良いだろう、ってさ。で、その次に共感で嬉しくな
る訳さ。アナタに惹かれているってだけで仲間意識
を持つってのも変だけど、多分惚れてる部分は同じ
だと思うんだ。
  
  ここまで一気呵成に書き上げた原稿を読ませてみ
て反応を伺う。正直この瞬間が一番苦手だ。
  「質問」
  「はいさ」
  「アナタのモデルって、実在するの?」
  「するよ」
  「そっか」
  おや?一寸この反応は想定外かな?何時もなら即
効で出来栄えを云々する奴が珍しい。
  「おれのモデルも実在?」
  「そうなるね」
  「ふぅむ」
  って、をい。なんでそこで原稿用紙を畳んでなお
そうとするかな。急ぎの穴埋めが要るから書けっつ
たのはあんたでしょうがよ。
  「……ドサクサ紛れに原稿用紙にラブレター書い
て寄越すな、莫迦」
  ああ、そう言う意味でなおしたのね、と妙に納得。
とりあえずまだまだ蝉はお盛んに啼いている。   
                 【了】

○●○

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて戴きま
す。次号配信まで、御機嫌宜しゅう。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

以下6月10日配信号より継続の事務連絡にて。

配信スタンドが5箇所から4箇所となりました。
これは1箇所の運営形状変更に伴うものです。

また、website『仇花の記憶』が移転致しました。
これはCOOLサーバ運営終了に伴うものです。

以上、奥付の通りよろしくお願い致します。

=========================
仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第八巻拾六回 2011.8.25発行

文責:葡萄瓜XQO
http://xqo.ooh.jp/mag/
mail:xqo_gm@yahoo.co.jp
連動BLOG「ショタやおい雑記」
http://xqosy.seesaa.net/

このメールマガジンは
melma! 
http://www.melma.com/backnumber_90840/

Mailux
http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533

おしらせメールサービス
http://www.marine.ne.jp/mm/user.asp?id=75297

まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0000270330.html

のシステムを利用して発行させて戴いています。

ご意見ご質問等は上掲メール宛、若しくはサイト内
設置メールフォームよりよろしくお願い致します。
http://xqo.ooh.jp/mag/form/

バックナンバーはサイト内及び各配信スタンドにて
公開しております。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
back   配信済top   次回配信分