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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第八巻拾八回  小説「優先事項」
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**第七巻弐拾号より横幅を
         若干拡げて配信しております**

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3月11日に発生しました東北地方太平洋沖地震(東北
大震災)にて罹災した皆様方に心からお見舞い申し
上げます。
居住地の差異の為たまたま罹災しなかった筆者に出
来ます行動は限られておりますが、幾許かが皆様の
潤いに繋がりますならば幸いです。

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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回、お楽しみ戴ければ幸いです。

○●○

   優先事項
               XQO
                              
 「悪い。半分引き受けて」
  改めて口頭で言われるのは珍しい。何時もならそ
のままスッと寄越すのに。
  まあ、それもそうか。メタボ検診明けの食事で二
人してトンテキ定食喰ってる訳だし。気遣い方が微
妙だけど少しは神妙になってくれてるって事なのね。
  「まあ、勿体無いしね」
  言い訳がましく一言置いてトンテキの残りを自分
の皿に移し…って、脂身を残してないってのはそり
ゃ本末転倒って奴で無いかい?赤身の部分喰って野
菜喰ってその後留意して、ってんなら模範的な患者
だろうけど。
  釘刺しの意味も込めて一応半開きの目で眺めてお
く。自覚は充分あるのだろう。こめかみから察しが
つく。
  
  惚れた腫れたのきっかけが外見だったとしても長
く寄り添うにはそれだけでははっきり言って足りな
い。外見と言うのは特にメンテナンスの要る部品だ
し、自然な経年劣化も当然ある。相手が経年劣化す
ると言う事は即ち自分も経年劣化する訳だ。厭きた
から直ぐ捨てると言う割り切りがあるなら兎に角と
してそれなりの時間二人して快適に過ごす為なら押
えるべき所は押えて置くべきだろう。
  と、最初から判っていれば苦労する筈が無い。判
って無いから惚れた腫れた以外で難儀して遠回りし
てしまう。でもそれも愉しんでしまえれば結構良い
想い出になるものだ。後からしみじみ振り返る余裕
が出来たならば。
  その余裕を創るにはどうするか。一応判ったつも
りだけど上手く言語化出来ない。ただ一つ体感から
言えるのは二人三脚だからこそのペース配分が必要
だって事だ。自分だけのペースを優先しては相手を
何時かは疲弊させてしまうだろうから。

  年の差だなんだと言っても傍から視てそれが物珍
しいのは精々年齢差があからさまに判る時期だけな
んだろうと思う。当事者にしてみればとりあえず社
会的に同じ土俵に上がった時点でそう言う差をハン
デにしようと言う気持ちは半分無くなっている。
  増してや健康的にもそろそろ同じ土俵に…と言う
話になると歳の差どうこうと言う論点は別の問題に
も繋がってくる。どっちがどっちを見送るかと言う
点に。あくまで気持ちの上での問題なんだけどね。
  それに実際問題、肉体のコンディションを整える
事で深まる部分も未だにある訳で…そこん所は煩わ
しく思い始めながらも愛しく思えると言うややこし
い所だ。枯れてしまいたいと思いつつも瑞々しい部
分を視るとときめきを隠せないのだから。いい年を
して。
  
  「で、勝算の見込みはどうよ?」
  「正直一寸苦しいかもな」
  食後の麦茶をゆっくり飲みつつ返される。健康マ
ニアに鞍替えした訳じゃない。コーヒーを飲むにも
気分だけで飲む事が出来なくなったと言うだけの話
だ。気力をそのまま体力に変換出来る期間にも個人
差は存在するらしい。
  「個人差があると言うのは覚悟してるんだけどね」
  「まあ、健闘はしてたんじゃない?あの条件下で」
  「慰めどうも。でも、回避できた筈の件も存在し
たからその点については割り引いて考えてよ」
  生真面目だな、と思う。はっきり言えばそこに惚
れて幾星霜になる。他の条件もあるにはあったがお
互い様の経年劣化を考慮すると残った中ではそれが
一番だった。その生真面目さでこちらの体調管理も
して貰っているのだから。
  「それに」
  「うん?」
  「残務処理をして貰えると甘えた部分も当然反映
されてるだろうから、それなりの結果は覚悟せんと
ね」
  「さっきみたいな?」
  「そう。あれはそれこそ相乗効果。初手の選択ミ
スだった」
  「自覚があるなら良いんで無い?とりあえずあれ
なら何時もの再現出来そうだし」
  「じゃ、そっちに期待する。悪いな」
  「二人三脚からリタイアされても背負えないから
ねぇ」
  少しだけ皮肉を混ぜて言うと善処する、とこれま
た生真面目に返された。重くしたくないから軽くし
たつもりだったが、まだまだこちらの技術が足りな
いらしい。でもその誠意が嬉しいからそこには触れ
ずに甘えておく事にする。世間はどうあれ食欲の秋
到来なのでその辺りの予防線も考えつつ。
                  【了】

○●○

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて戴きま
す。次号配信まで、御機嫌宜しゅう。

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以下6月10日配信号より継続の事務連絡にて。

配信スタンドが5箇所から4箇所となりました。
これは1箇所の運営形状変更に伴うものです。

また、website『仇花の記憶』が移転致しました。
これはCOOLサーバ運営終了に伴うものです。

以上、奥付の通りよろしくお願い致します。

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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第八巻拾八回 2011.9.25発行

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