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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第九巻拾回  小説「方法論」
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**第七巻弐拾号より横幅を
         若干拡げて配信しております**

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2011年3月11日に発生しました東北地方太平洋沖地震
(東北大震災)にて罹災した皆様方に心からお見舞い
申し上げます。
居住地の差異の為たまたま罹災しなかった筆者に
出来ます行動は限られておりますが、幾許かが皆様の
潤いに繋がりますならば幸いです。

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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回、お楽しみ戴ければ幸いです。

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   方法論
                   XQO
                                
 狡すぎる、と思う。
  いや、違う。狡いなんて言葉じゃ多分生易しいんだ。
  まったく、こう言う感情と言うのは始末に困る。揺
れた自分が馬鹿なのよと自嘲してみても理不尽故に腹
立たしい。
  惚れた相手の才能への嫉妬ってどう表現するのが一
番適切なんだろう。もう面倒臭いから上履きに画鋲を
入れるって事でお終いにしたいけど駄目かな?だって
否定するには余りに鮮やかすぎるんだもの。一段上か
ら嘲笑したくてもそうするだけの根拠となる才能が自
分に無いのは一番自覚してる。だからそんな無謀は出
来ない。やったとしたら入る穴さえ見つからない針の
筵が待ち受けているだけだ。
  だから他の要素で勝ち誇ってみたいなんて浅墓にも
足掻いてみるんだけど、ダメなんだなぁ。優劣云々を
言えないと言うんじゃなくて、そんな事で優劣を付け
たいのかと鼻で笑われそうな要素ばっかりで。僅かな
差分を見つけたとしても団栗の背比べの方がまだマシ
な差分だもの。
  そう言う相手に事ある毎に乗りこなされてる自分に
対して思う所は本当に沢山ある。沢山あるけどどうに
も出来ない。
  ただ不思議な事に屈服させたいとかそう言う感情は
ないんだ。そう言う感情に基づいたジタバタだったら
姑息な手段を使ってあっさり晴らしてるんだろうなき
っと。でもその時に爽快感はきっと無いんだろうけど
ね。
  そう。きっと俺は彼と釣り合う様になりたいのかも
知れない。何と言うか、男として。仮にも彼の恋人に
なってる人間が彼より何段か劣る人間じゃなんか格好
がつかないから。対等若しくは少し上な人間でないと
なんか示しがつかないと言うか世間体が悪い。こう言
う関係なのに世間体なんて気にして馬鹿じゃないのと
言われてもこればっかりは育ちによる刷り込みもある
作用だから自分でもどうしようもない。
  ホント、厄介だよな。恋よりはむしろ俺自身が。
  自業自得ではあるんだ。それは認める。ただそこか
ら先を納得出来てないと言うだけで。
  一番楽な方向性としては自己陶酔にどっぷり浸った
上で彼の事を大道具扱いにしてしまうと言うのがある
んだが、それは多分周囲から自己満足にしか思われな
いだろうから止めておく。そもそも彼を大道具扱いに
してみた所で彼自身そう言う所に収まる器じゃない。
記憶にある学芸会じゃ控えめにしていながらも常に主
役を喰ってた男だ。うん。二重の意味で。既に彼に喰
われている身としては恥の上塗りにしかならない手段
だろうから飛びつかないでおく。
  一番楽を封印してしまうからには二番手三番手があ
るんだろうと言うのが世間の相場なんだろうけど、こ
の件に関してはそんなものは全くない。デジタルの様
に1か0かしか無い。
  そもそもが贅沢な足掻きなんだ。高嶺の花を射止め
たと言われているんだからその花を引き立てる為に下
草に徹しようと殊勝に思えば良いものを同じ性である
事に妙に拘って何処かしら対等であろうと躍起になっ
てしまう。
  拘ってるのがコッチだけだと言うのはとっくに認識
してる。でもだからと言ってその点で退こうとは思わ
ない。その点で諦めたら多分彼にも申し訳ない本当の
負けになるから。これは立場を逆に想定してシミュレ
ーションして出した結論でもある。ただ一つ違うのは
俺の方に少なからぬ虚栄心があるって事。そんなもの
じゃ二人の距離を縮める事など出来ないってのは百も
承知してるのにね。
  だから余計彼に惹かれるし、振り向かせたいと足掻
いてしまうんだろう。全くもって業が深すぎる。
  自分自身で何か遺せたらこう言う気持ちは楽になる
んだろうか。彼にも納得して貰える様な確かな何かを。
納得だどうだと考えている時点で既に履き違えている
のかも知れないけど。
  実は何度かこの手の嫉妬心をぶつけた事はある。で
もいつもキョトンとした様子で返される。あんたのま
まで良いじゃんといなされる。うん。認めて貰えてい
るのかも知れない。惚れた腫れたで贔屓しない男だっ
てのは骨身にしみて知っている。いやだからこそ足掻
くんだけどさ。そう言う男の横にいる限り。
  ああもうホントややこしい男に惚れちゃったもんだ。
で、惚れちゃったもんは仕方がない。嫌いになったと
嘯いてみた所で自分が落ちてゆくだけだから。
  うん。大好き。凄く好き。それ以上になにも言えな
い。そう言う自分の恋心に対する誇りを失いたくない
から今日も今日とて張り合ってみる。 
                    【了】

○●○

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて戴きま
す。次号配信まで、御機嫌宜しゅう。

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以下喧伝です。

ニコニコ生放送「BL夜伽ラヂオ」
http://com.nicovideo.jp/community/co1391827
2012年1月5日(木)21時(午後9時)より開始。
毎週水曜日19時開始の30分から1時間の枠で毎週一人
の作家さんについてあれこれ思い出語りをさせて戴き
ます。
通年で50人を取り上げる予定です。
詳細は上記ニコニコミュニティまで。
出演:黒猫ゆーすけ+ぶどううり・くすこ(筆者)
3月度以降は暫しお休みを戴いておりましたが、4月度
より再開致しました。過去放送は記録動画として再録
させて戴いております。
また5/23配信時より配信予定が毎週木曜21時開始から
毎週水曜19時開始に変更されております。
何かのお肴にして戴ければ幸いです。

お時間があれば、よろしくお願い致します。

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以下2011年6月10日配信号より継続の事務連絡にて。

配信スタンドが5箇所から4箇所となりました。
これは1箇所の運営形状変更に伴うものです。

また、website『仇花の記憶』が移転致しました。
これはCOOLサーバ運営終了に伴うものです。

以上、奥付の通りよろしくお願い致します。

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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第九巻拾回 2012.5.25発行

文責:葡萄瓜XQO(ぶどううり・くすこ)
http://xqo.ooh.jp/mag/
mail:xqo_gm@yahoo.co.jp
連動BLOG「ショタやおい雑記」
http://xqosy.seesaa.net/

このメールマガジンは
melma! 
http://www.melma.com/backnumber_90840/

Mailux
http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533

おしらせメールサービス
http://www.marine.ne.jp/mm/user.asp?id=75297

まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0000270330.html

のシステムを利用して発行させて戴いています。

ご意見ご質問等は上掲メール宛、若しくはサイト内
設置メールフォームよりよろしくお願い致します。
http://xqo.ooh.jp/mag/form/

バックナンバーはサイト内及び各配信スタンドにて
公開しております。
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