★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
☆
第九巻拾六回  小説「偕老同穴?」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

**第七巻弐拾号より横幅を
         若干拡げて配信しております**

****

2011年3月11日に発生しました東北地方太平洋沖地震
(東北大震災)にて罹災した皆様方に心からお見舞い
申し上げます。
居住地の差異の為たまたま罹災しなかった筆者に
出来ます行動は限られておりますが、幾許かが皆様の
潤いに繋がりますならば幸いです。

****

御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回、お楽しみ戴ければ幸いです。

○●○

  偕老同穴?
                 XQO
                              
 「あいよ」
  何の前置きもなく差し出された包みにハテ何じゃコ
リャと思いを巡らしていると、顎をしゃくって日捲り
を見ろとの素振り。
  ああそう言えば随分前に第三月曜に変わったんだっ
けな。目の前で居眠りかましてる馬鹿とつるみ出した
頃だっけか。
  「やる」
  「へぇ、どうした風の吹き回しだい?」
  「社交辞令って奴?一応世間並みにね」
  「なら納めとくかね…これの分は別にあるんだろ?」
  「当然。きちんと差はつけてるよ」
  「ああそうかい。そりゃ結構だ」
  笑いながらこんな事言い合う爺と小僧もどうだかね。
まあ良いやな。恋敵なんだから。
  「登、先行ってるぞ」
  「あー待った、相乗り相乗り」
  「は?またかよ?しまいにゃガソリン代請求するぞ
?」
  …喬の育て方にはちっとばかり口を挟むべきだった
かね。こんな見栄えになるんならもうちっとお上品な
暮らしを…出来る筈が無いか、俺等二人が。
  
  最初に一緒に暮らしだしたのは俺と整。色恋欲沙汰
云々と言うよりは経済効率の問題だった。
  で、二人暮らしがどっぷりと馴染んで欲がちと遠ざ
かった頃に喬がずるずる一緒に暮らしだした。血の繋
がり?ないない。なんつうか居ついたんだな、居場所
探して。で、こっちも何となくな家族が欲しかった訳
で。
  で、喬もネクタイを絞め、それがかなり馴染んだ頃
に登が押しかけてきやがったんだ。事もあろうに整に
一目惚れしたとか何だかで。
  ほんと物好きな餓鬼だよ。自分の親より年上の爺に
一目惚れしたから押しかけるってな。その懸命さにつ
い絆されて一緒に暮らそうって言った俺も相当物好き
だけどな。整に惚れた頃の自分を思い出してくすぐっ
たくなったんだろうさ。
  まあ、登は正直色恋の面ではスコブルお行儀が良い。
お行儀が余りに良すぎたんでそう言う知識の仕入れ先
を持ってないのかと見当違いの心配をして下の方に余
計な気を廻した事もあったが何の事ぁない。猫かぶり
半分ええ恰好しい半分に大人振りたいお年頃って奴が
かぶさっただけだった。まあそれにしたってお行儀は
良いけどな。同じ年頃の時の喬の部屋のゴミ箱の中身
を考えると。そう言うのも多分世代差とかなんとかそ
ういうものなのかも知れんな。それが良いのか悪いの
か判断するのは別として。
  
  「一寸良いかな?」
  夜襖を叩かれたんでアイヨと応ずると喬が一升瓶抱
えて滑り込んできた。御手頃だけど中々に通な銘柄を
持ってきやがったなオイ。
  「貰いもんかい?」
  「はーずれ。世間的なねぎらいって奴?好みの野郎
の酌じゃなくて悪いけどさ」
  「こっちは喜ぶぞ」
  「ひーさんにそう言われると複雑だな。オレとあー
さんじゃ似ても似つかないでしょうに」
  これも親子の軽口って事で良いのかね。多分良いの
かな、きっと。年上との呑みはとことん避けてきたか
らその辺がよく判らねぇ。
  「ま、一つ念押したい事もあったんで、ね」
  「酔うときっと忘れるだろ、お前」
  「うん。だから先に言うね。登の引導、いつ渡すの
?」
  おいでなすったか。おちゃらけて答えるのも手かも
知れんが生憎と喬の目は真剣だ。だからこっちもあり
のままを言う。
  「血気逸って、って事で置いときたいが、駄目かね
?」
  「そんなんで済んだら色恋で迷わないよ。そうでし
ょ?」
  「そらそうだ」
  「成り行きとは言え縁あって兄貴分になっちゃった
からね。それなりに心配な訳。オレは別口が早々に見
つかったから良かったけどさ」
  「ああ、こないだの会社のアレか」
  「うん、アレ。なんだかんだで受け止めてくれたん
で絆されちゃった」
  「…悪かったな。軽くなれんで」
  「良いよ。軽いあーさんとひーさんならオレ親子や
ってないし」
  そう笑って七分目に注いだグラスを寄越す。
  「親子のつもりなら、早めによろしく」
  「だな」
  とは言うものの、惚れられた身だから早々答えは見
つからない。菊の花に答えをじっくり訊いてみようか
ね。やれやれ。 
                     【了】


○●○

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて戴きま
す。次号配信まで、御機嫌宜しゅう。

○●○

以下喧伝です。

≪BL Teatime in ニコニコ生放送≫
いよいよ本日2012年8月25日(土)放送の運びとなりまし
た。午後9時より6時間の配信予定となります。
☆
ニコニコミュニティ
【腐男子】リト&黒猫の「秘蜜の放課後」
http://com.nicovideo.jp/community/co233991
☆
↑上記のコミュ経由での配信となります。詳細も上記
コミュに記載がございます。
琴線に触れた方は是非ご参加ください。

そして喧伝その2.

ニコニコ生放送「BL夜伽ラヂオ」
http://com.nicovideo.jp/community/co1391827
2012年1月5日(木)21時(午後9時)より開始。
毎週水曜日19時開始の30分から1時間の枠で毎週一人の
作家さんについてあれこれ思い出語りをさせて戴きま
す。通年で50人を取り上げる予定です。
詳細は上記ニコニコミュニティまで。
出演:黒猫ゆーすけ+ぶどううり・くすこ(筆者)
5/23配信時より配信予定が毎週木曜21時開始から毎週
水曜19時開始に変更されております。
過去放送に関しては大方記録動画として再録しており
ます。何かのお肴にして戴ければ幸いです。

お時間があれば、よろしくお願い致します。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

以下2011年6月10日配信号より継続の事務連絡にて。

配信スタンドが5箇所から4箇所となりました。
これは1箇所の運営形状変更に伴うものです。

また、website『仇花の記憶』が移転致しました。
これはCOOLサーバ運営終了に伴うものです。

以上、奥付の通りよろしくお願い致します。

=========================
仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第九巻拾六回 2012.8.25発行

文責:葡萄瓜XQO(ぶどううり・くすこ)
http://xqo.ooh.jp/mag/
mail:xqo_gm@yahoo.co.jp
連動BLOG「ショタやおい雑記」
http://xqosy.seesaa.net/

このメールマガジンは
melma! 
http://www.melma.com/backnumber_90840/

Mailux
http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533

おしらせメールサービス
http://www.marine.ne.jp/mm/user.asp?id=75297

まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0000270330.html

のシステムを利用して発行させて戴いています。

ご意見ご質問等は上掲メール宛、若しくはサイト内
設置メールフォームよりよろしくお願い致します。
http://xqo.ooh.jp/mag/form/

バックナンバーはサイト内及び各配信スタンドにて
公開しております。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
back   配信済top   次回配信分