★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 ☆ 第九巻拾八回 小説「のみぞ知る」 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ **第七巻弐拾号より横幅を 若干拡げて配信しております** **** 2011年3月11日に発生しました東北地方太平洋沖地震 (東北大震災)にて罹災した皆様方に心からお見舞い 申し上げます。 居住地の差異の為たまたま罹災しなかった筆者に 出来ます行動は限られておりますが、幾許かが皆様の 潤いに繋がりますならば幸いです。 **** 御機嫌よう。葡萄瓜でございます。 小説配信回、お楽しみ戴ければ幸いです。 ○●○ のみぞ知る XQO 図らずも彼はこの夏節水に成功していた。 と言っても俄に遣り繰り上手になった、と言う訳で はない。シャワー派から身体清拭派…ボディシートと 言うかボディペーパーと言うかの愛用者に宗旨替えを したと言うだけの話だ。 『身体が乾くまでの間がね、勿体無い』 などと彼は苦笑しながら言う。まあ彼の身体条件を 考えると判らなくはない。判らなくはないんだが一寸 待てとも思う。彼の場合短毛種であるのだからタオル ドライをもう少し丁寧にするかタオルの質を変えれば シャワーでも充分大丈夫だと思うんだが。 老婆心ながらついつい気になってしまうのだ。あの 紙で拭けない部分はどうするつもりなんだろうと。か なりきわどい部分にまで用いている様だけど刺激は大 丈夫なのかな。いざとなればレンジで蒸しタオルを作 って対応…はどうだろう。彼の掌は彼の舌よりも熱に 敏感だ。蒸しタオルの熱に一瞬たりとも耐えられる訳 がない。いざとなれば取り出す時だけトングでも使う のかしら。 閑話休題。 その彼の変化は二人の生活の中にも微妙な変化を生 み出していた。具体的には彼の残り香の始末について。 正直僕は彼の体臭に不快感を覚えた事は一度もない。 むしろ好ましく思っていた。もっともそれは彼がかな りの綺麗好きだと言う事も手伝って…だろう。余程の 条件が重ならない限り彼が自然に発する体臭のみが残 り香になっていた。 ところが彼が清拭派になって以降、その残り香が余 りにも足りない。最近の専用用紙は性能がかなり良い らしく、僕等の種族の体臭を消すのはおろか他の種族 の体臭まで上手に薄めてしまう効果があるらしい。衛 生的なイメージを狙っての事なのだろうけど、僕にし てみれば正直余計なお世話という気持ち。なんだか風 情ぶち壊しな気分だ。 話の方向が少し違うが双方ともに意識したマーキン グについては僕は彼と付き合う当初に受け入れている。 むしろある種のステータスと受け止めているんじゃな いかと思う。強く付き過ぎると僕の方が腰砕けになっ てしまうのでその辺の加減は要るけど。 してみると僕は結構なフェティシズムの持ち主だっ たのだな。彼の体臭が不足していると言うだけで情緒 不安定に陥っているのだから。ああ、だからか。ここ 二週間程彼が訝しんでしまう程度に僕の方から絡んで ゆくスキンシップが増えたのは。マーキングで補おう としていたのかも知れない。……重症だな、我ながら。 「ねえ」 「ん?」 「ごめん、暑苦しい」 「邪魔?」 「邪魔、じゃないけど」 「じゃ、もう一寸ごめん」 結局背中から抱きつかれたまま時間が経過してる。 首筋に感じる彼の息遣いが時に不規則になっているの がかなりまずい。って言うか、寝息か?これ。 揺り落とすのも何なので出来るだけやんわりと体勢 を入れ替えて一寸思案してお姫様抱っこでベッドに運 ぶ。うん。野郎同士でやる振る舞いじゃない。まあ、 サービスみたいなもんだ。 で、寝かせた後にもう少し思案して俺の使ってる枕 をあてがってみる。これは確証を得る為の実験。さっ きの寝息からふと思いついたので。 ああ、反応が顕著だな。と言う事は仮説は正しかっ た、と。 …色々考えた上での選択だったけど、徒になったか な。柄にもなく異種間共存とは云々かんぬんと考えた 上で行動してみたのだけど、その考慮こそが壁になり ストレスになってしまっていたらしい。 でもまた宗旨変えするたってなぁ…便利なんだよな、 正直。紙で拭くだけで色々拭えて時間も短縮出来るっ てさ、それだけ二人で寄り添える時間も増やせるって 事でさぁ。肝心要の部分を拭うのにはある程度の効果 を考えて晒し木綿を使ったりしてるし。 まあ、でもな、うん。 「ん…あ、ごめん。寝てた?」 「結構ぐっすり」 「そっか」 「その枕、貸しとこうか?」 「…悪いな」 取り敢えずまだ残暑が厳しいから枕で我慢しておい て貰うとするか。もう少し涼しくなったら紙の出番も 少なくなるだろうから、せめてそれまで。 【了】 ○●○ さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて戴きま す。次号配信まで、御機嫌宜しゅう。 ○●○ 以下喧伝です。 ニコニコ生放送「BL夜伽ラヂオ」 http://com.nicovideo.jp/community/co1391827 2012年1月5日(木)21時(午後9時)より開始。 毎週水曜日19時開始の30分から1時間の枠で毎週一人の 作家さんについてあれこれ思い出語りをさせて戴きま す。通年で50人を取り上げる予定です。 詳細は上記ニコニコミュニティまで。 出演:黒猫ゆーすけ+ぶどううり・くすこ(筆者) 5/23配信時より配信予定が毎週木曜21時開始から毎週 水曜19時開始に変更されております。 只今は配信に暫しお休みを戴いております。 過去放送に関しては大方記録動画として再録しており ます。何かのお肴にして戴ければ幸いです。 お時間があれば、よろしくお願い致します。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 以下2011年6月10日配信号より継続の事務連絡にて。 配信スタンドが5箇所から4箇所となりました。 これは1箇所の運営形状変更に伴うものです。 また、website『仇花の記憶』が移転致しました。 これはCOOLサーバ運営終了に伴うものです。 以上、奥付の通りよろしくお願い致します。 ========================= 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 第九巻拾八回 2012.9.25発行 文責:葡萄瓜XQO(ぶどううり・くすこ) http://xqo.ooh.jp/mag/ mail:xqo_gm@yahoo.co.jp 連動BLOG「ショタやおい雑記」 http://xqosy.seesaa.net/ このメールマガジンは melma! http://www.melma.com/backnumber_90840/ Mailux http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533 おしらせメールサービス http://www.marine.ne.jp/mm/user.asp?id=75297 まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000270330.html のシステムを利用して発行させて戴いています。 ご意見ご質問等は上掲メール宛、若しくはサイト内 設置メールフォームよりよろしくお願い致します。 http://xqo.ooh.jp/mag/form/ バックナンバーはサイト内及び各配信スタンドにて 公開しております。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★