★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
☆
第拾巻拾弐回  小説「天河笑譚」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
2011年3月11日に発生しました東北地方太平洋沖地震
(東北大震災)にて罹災した皆様方に心からお見舞い
申し上げます。
居住地の差異の為たまたま罹災しなかった筆者に出来
ます行動は限られておりますが、幾許かが皆様の潤い
に繋がりますならば幸いです。

****

御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回、お楽しみ戴ければ幸いです。

〇●○

  天河笑譚 
                XQO
                              
  「あんれまぁ…」
  正に二の句も告げないと言う風情で腕を組む彼にど
う声を掛けて良いか悩んだ挙句そのまま待機する事に
した。言葉次第で次の行動を決めないと恐らく収拾が
つかないからと言う自己判断の上で、だ。
  「とりあえず」
  「うん」
  「一杯くれ。気付に」
  とりあえずまだ朝っぱらだから氷出しにしておいた
番茶を注いでやる。苦りきったうんざり顔を向けられ
たがそんな顔をしたっていきなり状況は変わらんのだ
から甘い展望は諦めろよと思う。こっちだってさてど
うしようと考えあぐねたその挙句さっき思考停止した
所なんだから。
  「そのまあ、なんだ」
  グイッと一息に飲み干した冷たい番茶は思いの外好
く効いたらしい。相乗効果もあったんだろう。彼の口
調が平静のものになる。
  「風情もヘッタクレも無い、と言う事実は覆せそう
に無いな」
  「だねぇ。急場凌ぎも出来そうに無いし」
  「とは言え、だ。さしあたって明日はどうするよ?」
  「交通事情好転により竹馬高下駄使用可能!…なん
てのは駄目?」
  「……それ、お前なら許せる?」
  「無理かもね」
  「と言う訳で却下。他に何か考えるか」
  「考えつくんならね」
  苦笑する余裕も出て来たか。ある意味それも思考停
止なんだろうけどパニクってるよりは少しましだ。
  「いっそ嵩増しするか」
  「何で?」
  「バナn」
  問答無用で卍固めに処する。
  「ロープロープ!」
  「タオルを投げ入れて貰うんだな」
  幾ら河の水が白いったってそう言う方向に解決する
のは悪趣味にも程がある。第一起源が大違いだろうが。
ここで話を止めないと多分掬い様の無い所まで話が堕
ちるからきっちり懲らしめておく。後で逆襲?んなも
ん頭から却下だ。
  で、とりあえずふざける余裕を奴から奪い取った処
で少し休憩を入れて改めて打開策を面突き合せて考え
てみる訳だが…オチのつかない睨めっこと言うのはこ
んなに苦痛なものだったんだなと再確認出来るに留ま
った。
  「こっちにまで影響が出るってのは、幾らなんでも
想定外だよなぁ」
  奴のボヤキもごもっとも。こっちが向こうに影響を
及ぼすなんて状況は幾度かあったけど、こっちが向こ
うから影響を受けるなんて状況は少なくとも俺達が架
橋管理をする様になってからは無かった。俺達が赴任
するまでにも恐らく無かった筈だ。とりあえず申し送
りは受けていないので。
  「こっちだけの話で済むんなら最悪の手でも、」
  「いや、それは…多分後々拙いから止めよう」
  「そうだな、視られてるし」
  そう。こっちから向こうは色々中継手段を使わない
と総て視る事が出来ないが向こうはこちらを易々と目
視確認出来るのだ。と言う事は下手を打つ事は断じて
出来ない。したら最期洒落抜きで末代までの語り草に
なるだろう。時間差があるから大丈夫だなどと早合点
してたかを括ってもいけない。あっちには千里眼と言
う言い回しもあるじゃないか。千里眼を用いて今この
時を眺めている奴が居ないなんてどうして言える?俺
達の先代の管理人達のアレコレがあっちで伝説になっ
て語り継がれていると言う事実を知った時の俺の戦慄
は…何と言うか今でも上手く言葉に出来ない。まあひ
とつ美しい誤解が混じった上に定着しているのでその
点では少し安堵している。
  「ああ、そうだ」
  「今度は何思いついたんだ?」
  「向こうの風習でさ、鳥避けに空の記録ディスクぶ
ら下げたってのがあったろ?」
  「ああ、あッ…あ、あー、そうか!」
  「そうそう」
  まあ、後は御察し戴きたい。詳細を話すとそれこそ
風情ぶち壊しになってしまうから。兎に角も何とか美
しい川面の煌めきを演出する事には成功した、訳だ。
  「オー、壮観壮観」
  「もう少し工夫はしたいけどな。まあ、初回として
は上出来、かな?」
  「だな」
  そして通信卓のディスプレイ越しに手を合わせて笑
い合う。熱は今もって生憎と伝わらないけど。  
                                    【了】

〇●○

此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて戴きます。次
号配信まで、御機嫌宜しゅう。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

以下喧伝です。

BL夜伽ラヂオ 
http://com.nicovideo.jp/community/co1391827
筆者【ぶどううり・くすこ[葡萄瓜XQO]】の独り
体制になって再開しております。

今後の配信時間:
毎週水曜日21:00(午後9時)頃〜

お時間が合いましたらお立ち寄りください。

=========================

仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第拾巻拾弐回 2013.6.25発行

文責:葡萄瓜XQO(ぶどううり・くすこ)
http://xqo.ooh.jp/mag/
mail:xqo_gm@yahoo.co.jp
連動BLOG「ショタやおい雑記」
http://xqosy.seesaa.net/

このメールマガジンは
melma! 
http://www.melma.com/backnumber_90840/

Mailux
http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533

おしらせメールサービス
http://www.marine.ne.jp/mm/user.asp?id=75297

まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0000270330.html

merumo
http://merumo.ne.jp/00609565.html

のシステムを利用して発行させて戴いています。

また独自配信も開始しております。
http://xqo.ooh.jp/mag/d-send.html

ご意見ご質問等は上掲メール宛、若しくはサイト内
設置メールフォームよりよろしくお願い致します。
http://xqo.ooh.jp/mag/form/

バックナンバーはサイト内及び各配信スタンドにて
公開しております。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
back   配信済top   次回配信分