★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 ☆ 第拾参巻弐拾弐回 小説「きらり、はらり」 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 2011年3月11日に発生しました東北地方太平洋沖地震 (東北大震災)にて罹災した皆様方、2016年4月14日に 発生しました平成28年熊本地震にて罹災した皆様方に 心からお見舞い申し上げます。 居住地の差異の為たまたま罹災しなかった筆者に出来 ます行動は限られておりますが、幾許かが皆様の潤いに 繋がりますならば幸いです。 **** 御機嫌よう。葡萄瓜でございます。 小説配信回、お楽しみ戴ければ幸いです。 〇●○ きらり、はらり XQO 昔のフィルム会社のコマーシャルじゃあるまいし、 とおかしな気分になるのだが最近二人して写真を残す 事にはまっている。 瞬間を残すだけならデジタル媒体で充分事足りるし、 その方が作業が簡単でなおかつ鮮明だ。動きだって残 して置けるし、いざとなればの封印だって流出さえな ければ割合楽にできる。 それなのに何故か紙に焼き付けて残す事にはまって しまっている。 思い出に執着しない人間を自任していただけにこの 心境の変化は我ながら面白い。連れ合いの影響なのか と最初は訝しんだが相手はこっち以上に物体に執着心 のない人間だと思い出したので最初は軽く混乱した。 あの執着心の無さは半端じゃない。一年遣った手帖を 年が明けた瞬間暖炉にあっさり投げ込む人間は流石に 初めて見た様な気がする。それでいて諸々の事は打て は響くみたいに覚えているので何の為に手帖を遣って いるのかと問うてみたら手入力を愉しみたいからと言 う人を喰った様な言葉が返ってきて理解するのに少し 時間がかかった。 いや、連れ合いの事はとりあえずどうでも良い。つ い話がそれた。 自分でもどう言うバランスなんだと頭を抱えてしま うんだが、写真を写すと言う行為自体は嫌いではない。 むしろ好きな部類だ。ただ自分が被写体になると言う のが極端に苦手なだけで。 写真の中の自分と言うのは極端に言えば過去の一瞬 な訳だから、自分の思い通りに調整する事は出来ない。 つまり抹消したい自分がたまたま写り込んでしまった らあとは針の筵に座って向き合い続けて行くしかない。 これは結構しんどい。気力がある時ならやり過ごせる がそうじゃない時に義務的に向き合わなければいけな くなった時はいっそこのまま息の根を止めてくれと言 う気分になる。 デジタルだとその辺がかなり気楽になってしまうん だな。自分である程度の加工をする事が可能になって るから。だから、事実の抹消は出来なくても自己満足 の範疇の中で修正が出来る。 そう思いながら向き合ってきたのに、何故今更と言 う感じで、逆に面白くなってしまう。 手許で気軽に視たいから?それならデジタル媒体で だって充分可能な筈だから、きっと自覚出来ていない 何かがあるのだろう。少なくとも自分の何かを遺した いと言う所からでは無い筈だ。そこまで自身に酔える 程自信がある訳ではない。連れ合いの事に関して言え ば遺しておきたい欲求が少しはあるけれど。特に表に 出し難い様な彼是なぞ。そこで奴が撮られたがり観ら れたがりであれば渡りに船と言う所なんだが、そう言 う所がどうもこっちと似たり寄ったりと言う感じなの で、交渉に交渉を重ねてやっとツーショットを撮る事 が出来たと言う次第。写真館の店頭に飾ってどうこう する訳じゃないから良いじゃないかと身勝手に考えて はみたものの、気持ちは判らなくはない。関係性がば れるどうこうと言うのではなくて、照れくさいのだ。 そう。強烈に照れくさいのだ。こう言う幸せに慣れて いないものだから。 うん、まあ、何も言うまい。お歳暮と考えてみれば それなりに納得は出来る。送り主と受け取り主が少し 妙なだけだ。そう思って納得しよう。 「……呆れてる?」 いや、だからいい歳して上目遣いになられても困る から。自分で責任をとれる額面の買い物をした事に対 して干渉する権限なんてこっちには無いから! 「活用すればいい話なんじゃない?」 「不経済と言う訳じゃ」 「ない!ついでの買い物が増えるよりは、多分」 「メンテはこっちでするから」 「僕が遣う時は無論こっちでするよ?」 「……遣うんだ」 「遣わいでか。折角なのに」 サクッと見栄を切っておいて用意してあったものを 差し出す。 「……用意良すぎ」 「どうせ遺すなら、って思わん?」 「誰が始末するんだ誰が」 「僕でしょ?この文脈だと」 出来るだけさらっと言って、次の言葉を封じておく。 自分達で愛でる分には多少不格好な手製の写真台紙 もまた一興。それごと思い出になるからある意味一石 二鳥だ。 これは、何冊まで増えてゆくのだろう。いっそ始末 に困るだけの冊数が遺って欲しくもある。 【了】 〇●○ さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて戴きます。 では次号まで、御機嫌宜しゅう。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ BoysLoveみそひともじ朗詠 http://com.nicovideo.jp/community/co1421231 定例配信:毎月第一月曜日・21:00(午後9時)頃〜 雑談枠:「合切袋のプチ整理」 毎月第三月曜日・21:00(午後9時)頃〜 お時間がありましたらよろしくお付き合いください。 2016年1月より『BL夜伽ラヂオ』第四期を配信致して おります。 BL作家紹介放送「BL夜伽ラヂオ」 基本的に毎月第二第四水曜日・午後9時(21:00)頃開始。 概ね30分ひと枠配信 http://com.nicovideo.jp/community/co1391827 第25回は30日(第五水曜日)配信。 小回顧枠・その5をお送りします。 併せてご愛顧戴ければ幸いです。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 以下、商業媒体告知です。 2015年8月20日に玄光社から刊行されました 『はじめての人のためのBLガイド』【表紙:宝井理人】 http://www.genkosha.co.jp/gmook/?p=8721 http://www.amazon.co.jp/dp/4768306462/ の企画・「私が選ぶ○○BLベスト5」の選者の一人と して参加させて戴きました。 ご高覧戴けましたら幸いです。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 商業媒体告知、2件目です。 2015年11月25日より集英社より電子書籍配信されている ブリンクコミックスデジタル・ことり野デス子先生 「フダンシ革命」第2巻巻末企画にて、ことり野先生と 腐男子として対談させて戴いております。 http://www.amazon.co.jp/dp/B0177H72ZO/ http://books.rakuten.co.jp/rk/42718e40b81938e788ce1e4a32558366/ ご高覧戴けましたら幸いです。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 商業媒体告知、3件目です。 宙出版・刊『このBLがやばい! 2016年度版』(2015年12月12日刊) http://www.amazon.co.jp/dp/4776796627/ にて、当方はBL通の末席で「あなたのBL BEST5」(コミック ・小説)選者で参加しました。 更に「2014〜2015 BLニュースこの1年!!」(BL重大ニュ〜ス!!) を書かせて戴き、加えてランキング発表後のBL座談会で 評論サークル・ガール社のユーホさん、BLの取り扱いもある インターネットカフェ・和style.cafe AKIBA店スタッ腐さんと 鼎談させて戴いております。御高覧ください。 ========================= 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 第拾参巻弐拾弐回 2016.11.25発行 文責:葡萄瓜XQO(ぶどううり・くすこ) http://xqo.ooh.jp/mag/ mail:xqo_gm@yahoo.co.jp :xqosy@aol.com(メールマガジン専用アドレス) 連動BLOG「ショタやおい雑記」 http://xqosy.seesaa.net/ このメールマガジンは melma! http://www.melma.com/backnumber_90840/ Mailux http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533 まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000270330.html のシステムを利用して発行させて戴いています。 また独自配信も開始しております。 http://xqo.ooh.jp/mag/d-send.html ご意見ご質問等は上掲メール宛、若しくはサイト内 設置メールフォームよりよろしくお願い致します。 http://xqo.ooh.jp/mag/form/ バックナンバーはサイト内及び各配信スタンドにて 公開しております。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★