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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第拾七巻六回 小説「われてつぐ」
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2011年3月11日に発生しました東北地方太平洋沖地震
（東北大震災）にて罹災した皆様方、2016年4月14日に
発生しました平成28年熊本地震にて罹災した皆様方に
心からお見舞い申し上げます。
居住地の差異の為たまたま罹災しなかった筆者に出来
ます行動は限られておりますが、幾許かが皆様の潤いに
繋がりますならば幸いです。
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回、お楽しみ戴ければ幸いです。
〇●○
われてつぐ
ＸＱＯ
「…こう言う時だけ矢継ぎ早なんだな」
感情を籠めずに言われているだけ余計にしんどい。
事実に基づいている言葉だから目を逸らす事も出来な
い。
「良いけどね。慣れた」
ああ、こっちがしてきたのはきっとこう言う事なの
か。確かに、二の句を継ぐのに相当気力が要る。
手つかずの麦茶が白湯に近くなるまで一体何をやっ
てるんだと言う話ではあるが、情けない事に糸口がさ
っぱり見つからない。ただ滑稽に慌てている自分の手
元が見えているだけだ。
以心伝心で済むなら色恋沙汰なんて要らないよ、と
静かに言われたのは何時の事だったか。どう言う場面
で言われたのかなんて完全に忘れ去っていると言うの
にその声の調子だけが何故か明瞭に思いだせてしまう。
その肝心な事を忘れたままでほったらかして挙句の
果てにこうなっているのだから世話は無い。
同じ方向を向いているのだから、としつこくならな
い様に言葉を省略していたつもりだった。だから多分
重要な事実を見失っていたのだと思う。二人が元々環
境の違う中で今日まで歩いてきた赤の他人であった事
を。
思えば流儀の統一について話し合った事は多分無か
った。こちらに合わせて欲しいと望み続け、その暗黙
の下で進行し続けていただけだ。そして一つ叶うと静
かに一歩を進めて、の繰り返し。万能感を持った心算
は多分一度もない。その筈だと信じたい。
その繰り返しが蓄積されてついさっきの様となる。
俯瞰出来ていればきっと予測出来た筈、と思うのはあ
くまでも事後確認。どこでどう加減を見失ったのかが
皆目見当がつかないのだから無様と言うしかない。
慣れた、という一言に温度が一切籠っていなかった
のがここまでしんどいとは正直想像出来ていなかった。
聞く耳は持っている、と自身では思っていた。しか
し、ここまでを総合して考えるとどうやら一切の持ち
合わせは無かったらしい。その検証も、静かにしんど
い。
聞く耳を持たずに吐き捨てると言うのは自分も奈落
に堕とす様なものだから正直遣りたくは無い。ああ、
しまった、と相方の手許を見てようやく気付いている
のだから、無様な事だけど余程疲れていたんだろう。
受け止め続ける事に疲れた訳では無いと思う。そう
言う事ならきっともう少し早く愛想を尽かして総ての
経路を断ち切っている。
繰り返されるほぼ以下同文の泣き言が自分でも解ら
ないタイミングで癇に障ったのかも知れないな。揚げ
足になる様な振る舞いをそっちが繰り返すのはお咎め
無しか、とふとした拍子で思ってしまったんだろう。
電子頭脳にだってバグはあるし人間の脳髄だって完
璧じゃない。そこを承知した上で何とか出来る範囲は
何とかしようかと腹は括っているつもりだけどね。水
掛け論は不毛だからそこから先には進めないけど。
普通の縁なら多分ここでお終い切り替えて行こうと
言う事になるのかも知れない。気持ちが残っていない
なら移行も滑らかに済むだろう。そうなっていないか
ら困っている訳で。
欲得ずくの仲で今まで来た訳ではない。情で何とか
乗り切りたいと思ってしまったから足取りが絡んでや
やこしくなっている。明らかにこっちの判断ミスなん
で、それを向こうに転嫁するのは本当に筋違い。と、
冷静に事の後で思ってもね。さあ、どうしたもんだろ
う。こっちが疲れ果てて八つ当たりする様な繰り返し
になってもいけないだろうしね。
あっちに修復を望むなんて選択肢は最初から無い。
それが出来る人なら最初からこうなっていないだろう
から。そう言う部分も含めて、まあ惚れていると言う
感じなのだからこっちの方が人間として相当駄目なん
だろうと自覚している。
結局、二の句を継ぐのは止めにする。上滑りになる
可能性のある言葉でそれなりの日常として誤魔化すよ
り、この際だからとことん自分に向き合うのも互いの
為には好いのかも知れない。
ただ放置すると言うのは少し気が咎めるので麦茶の
グラスは換え、パック入りの紙おしぼりを添えておく。
あとはどうなり好きにすれば良い。ここも彼の居場所
だ。
「今日、好い？」
「添い寝ならね」
頷く気配に、一方的では無い未来を期待したいとは
思う。
【了】
〇●○
なお、7月度及び8月度・前半（10日）の配信は配信者
都合により休止させて戴きます。
7月の小説配信回（25日）まで、御機嫌宜しゅう。
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BoysLoveみそひともじ朗詠
http://com.nicovideo.jp/community/co1421231
定例配信：毎月第一月曜日・21:00（午後9時）頃〜
雑談枠：「合切袋のプチ整理」
毎月第三月曜日・21:00（午後9時）頃〜
お時間がありましたらよろしくお付き合いください。
暫し休止中ですが、再開の折にはご愛顧戴ければ
幸いです。
2020年度「BL夜伽ラヂオ」配信は引き続き暫し休止と
させて戴きます。
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以下、商業媒体告知です。
2017年11月10日ぶんか社より刊行された
たかはし志貴先生
「アラサー腐女子が初めて付き合ったのは、高校生の腐男子でした。」
巻末企画にて、たかはし先生のパートナーさんを
含んだ面々で腐男子座談会を展開させて戴いて
おります。
https://www.amazon.co.jp/dp/4821144719/
https://books.rakuten.co.jp/rb/15204144/
ご高覧戴けましたら幸いです。
電子書籍展開もあります。
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商業媒体告知、2件目です。
2015年11月25日より集英社より電子書籍配信されている
ブリンクコミックスデジタル・ことり野デス子先生
「フダンシ革命」第2巻巻末企画にて、ことり野先生と
腐男子として対談させて戴いております。
http://www.amazon.co.jp/dp/B0177H72ZO/
http://books.rakuten.co.jp/rk/42718e40b81938e788ce1e4a32558366/
ご高覧戴けましたら幸いです。
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商業媒体告知、3件目です。
2015年8月20日に玄光社から刊行されました
『はじめての人のためのBLガイド』【表紙：宝井理人】
http://www.genkosha.co.jp/gmook/?p=8721
http://www.amazon.co.jp/dp/4768306462/
の企画・「私が選ぶ○○BLベスト5」の選者の一人と
して参加させて戴きました。
ご高覧戴けましたら幸いです。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第拾七巻六回 2020.6.25発行
文責：葡萄瓜XQO（ぶどううり・くすこ）
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mail：xqo_gm@yahoo.co.jp
：xqosy@aol.com（メールマガジン専用アドレス）
連動BLOG「ショタやおい雑記」
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このメールマガジンは
Mailux
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まぐまぐ
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のシステムを利用して発行させて戴いています。
ご意見ご質問等は上掲メール宛、若しくはサイト内
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「ショタやおい雑記」にて公開しております。
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