仇花の記憶〜ごく私的なやおい歴史記録〜
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本編第二回 Tの恐怖
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ごきげんよう。葡萄瓜でございます。
導入部でこんなに時間を取ってどうするのだと言う
お声もありましょうが、駆け足で進むと全く判らな
くなるのでございます。ご容赦下さい。
さて、私と『耽美』の出会い。それは余りにも不似
合いな場所とタイミングの産物でした。
場所:某語学系私大の受験生待合所。確か図書室。
タイミング:受検当日の昼食休み(午後から受検科
目あり)。
これ程迄に耽美とは裏腹の舞台設定も無いでしょう。
更に裏腹なのはこれだけではありません。
内容梗概:
ドカベン(※1)に登場する里中投手に対する加虐
行為。尚且つ里中投手は山田捕手と性的関係が有る
と匂わせる記述がある。ただし加虐行為を働いてい
るのは山田捕手ではない。文章のみで挿絵なし。
なお、当時の私の同性間の『関係』に関する知識は
殆ど無かったといっていいでしょう。雑誌の記事か
らの伝聞の断片の断片が耳に入る程度で。
…………いや、衝撃でしたね。トラウマにならなか
ったのは果たして良かったのか悪かったのかと今に
して苦笑しますが。
其の同人誌の分野を今のやおい用語で分類するなら
ば鬼畜(※2)に振り分けるべきでしょうか。それ
も一切救いの無い部類の。
冷静に考えるならば、確かに里中投手は美形に描か
れていますしね。相手が山田捕手とい言うのも王道
(※3)な訳です。やおいの展開方法の中では納得
出来ない話では無い筈なのですが…。
『耽美』と言う形容とのギャップが大きかったのか
も知れません。気にする割には当時耽美がどう言う
ものか具体的には知らなかったのですが。イメージ
だけが頭の中で肥大していた様です。(※4)
受験問題を一切覚えていなくてこう言う事ばかり割
に鮮明に覚えている受験生は如何なものかと思うの
ですが(苦笑)。其の当時は奥付を見て再度目眩を
覚えました。
其の大学にあった漫画研究サークルの名前がしっか
りと(汗)
恐らくはこれがやおいと大別して呼ばれるこの分野
とのファーストコンタクトだったのかも知れません。
そして別の日の受験からの帰り道。今度はやおい同
人誌と遭遇する事になるのです。
本編第三回、『Yとの遭遇』を予定しております。
では、又お目に掛かりましょう。
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※1
水島新司原作によるTVアニメーション。
76年10月〜79年12月/フジTV系?で放映。
原作は週刊少年チャンピオン誌の看板作品とも
言うべきもの。
本編終了後プロ野球編も描かれていた。
山田捕手は一応物語の主人公。里中投手は山田
捕手と高校の野球部に於いてコンビを組んでい
る。
※2
SMと違い、虐待を加える相手を一方的に屈服さ
せ服従させる事を眼目に置くやおい上の性的関
係の展開法。またその区分。その中で加虐側が
口にする「愛情」とは所有欲が変化したもので
あり、服従側にとっては足枷の様なものである。
masochismと出会う前のsadismとは正しくこの
様な状態であったと思われる。
加虐の果てに一種心理的な絆が生まれると言う
展開もあるが、凡そは加虐の果てには何も残ら
ないと言う展開の方が多い様子。
※3
やおい展開に於いては定番といえる(カップル
の)組あわせ。やおい妄想に於ける『公認カッ
プル』と言って良いと思う。
※4
耽美少女漫画(『風と木の詩』に類する感じの
もの)の雑誌広告からのイメージが主になって
いた様だ。『風と木の詩』と言う作品について
は作品名は聞いた事があったが当時本編を目に
した事はなかった。
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仇花の記憶〜ごく私的なやおい歴史記録〜
本編第二回 2003.5.31発行
文責:葡萄瓜XQO
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