仇花の記憶〜ごく私的なやおい歴史記録〜
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増刊第六回　　恐らくは最古のショタコン？
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ごきげんよう。葡萄瓜でございます。
今回の稿に就きまして最初にお断りを。
今回の稿は時間軸の流れから言いますと本編に含むべ
き内容なのかも知れませんが、本編では歴史的な流れ
を見て行きたい為敢えて増刊扱いと言う形を取らせて
戴きました。

さて、ショタコンと言うのは元々がロリコンの対語と
して間に合わせに考えられた語なのですが、その出自
に関らずカテゴリーを表す語として受け入れられた様
です。ロリコンと同じ方向で。
つまり、当初のショタコンと言うものはロリコン漫画
表現のバリエーションとして存在していた様なのです
ね。可愛らしい女の子を二次元で自由にする事に飽き
を感じた人々が趣向を変える為に標的を可愛らしい男
の子に変えたと言う感じのものなのだろうと思います。
でも、特に男の子である必要も無かった様です。極端
に言えば両性具有である幼子であれば良かったのでし
ょう。
やおいにショタコン（的な内容のもの）が具体的に登
場するのはキャプテン翼以降ではなかったかと思いま
す。もう少し具体的に言えば「仮面の忍者赤影」(※1)
辺りで。

ロリコン漫画以外のショタコン的な作品と言うと「海
のトリトン」（※2）を提示される方が割に多いと思
いますが、当のトリトンを扱った同人誌ではショタコ
ン的な描写は（少なくとも筆者が同人誌に触れる様に
なった87年頃以降）とんとありません。(※3)
どころかショタコン的・やおい的な観られ方を拒否し
ていた感すらあります。（※4）あくまでトリトンは
『理想の男の子』として描写されていた訳です。
キャプテン翼ブームになってもショタコン的内容は現
われませんでした。小学生から中学生に以降するショ
タ適性年齢（※6）と言われる彼等でさえ同人誌上、又
やおい上では『男』として扱われて居たのです。
「聖闘士星矢」（※7)の主人公もショタ適性年齢では
ありますがその立居振舞から男として描写され…てい
たのですが、後期にはショタ的に扱われる様になりま
したね。でもそれはあくまでも後期の話です。
当初からショタコンと設定されてやおいに登場した少
年は、恐らく「仮面の忍者赤影」に登場する青影少年
でしょう。筆者の記憶に中にしか証拠が無いのが残念
ですが。
彼がやおいの中のショタコンの最初らしい、と言うの
はその描写があった同人誌を見たと言う筆者の記憶を
頼りにした仮説でしかありません。現物を手元に置か
なかったのが本当に悔やまれます。
【後の手掛かりとしては同じ方が「サムライトルーパ
ー」（※8）の合同誌に参加して山野純少年（8歳）を
ショタコン的に扱う作品を発表していた事、また後日
オリジナルショタコン作品をやおい雑誌誌上に発表し
ていた事程度です。曖昧な根拠で申し訳ありませんが
御容赦下さい。】

「赤影」自体はアニメ作品としては大きくヒットしま
せんでしたので同人誌界への影響は無い、と思われる
でしょうが、青影の存在でショタ対象年齢を引き下げ
たと言う点では影響があったのではないでしょうか？
そして、一つの大きな前提。
『あくまで男の子であって、女の子の代理ではない事』
やおいの中で生じたショタ(的なもの)には常にその前
提が突きつけられる事となります。
理想の男の子像に性的イメージが付加された訳です。
ただし、あくまで受身としてのイメージ付加ですが。
これが与える側のイメージに転化するには今少し時間
が必要な様です。

では今回はこれにて。
次は本編第三回にて御目に掛かるつもりで居ります。
では、御免下さいまし。
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※1
横山光輝原作。67年4月〜68年3月放映の特撮実写忍者活
劇をアニメ版としてリメイクし87年10月〜88年3月放映し
たもの。
青影は最年少の少年忍者。余談だがアニメ放映時の原作
版では女形になっていた。

※2
72年4月〜10月の半年間放映、手塚治虫原作・富野喜幸
アニメ化監督と言う伝説化された作品。。映画化作品は
79年7月に製作・公開された1作（公開時は半分しか公開
されず）があるのみ。
その人気は一種カルト的でもあり、今日の声優ブーム・
アニメキャラFCブームの祖と言われ、又ショタコンブー
ムの祖であると言う声もある。

※3
当時筆者は同人誌即売会に出入りしておらず、同人誌の
見聞についてはもっぱら梅田に在った駸々堂と言う同人
誌取扱書店（本編にて後述）に頼るのみだった。
そこでの取扱の範疇で、と思って戴きたい。実際の即売
会での様子は又少し違っていたのだろうが。

※4
あるサークルの同人誌ではトリトンの血縁らしき男の子
が二次元キャラクターばかり集めた男娼窟らしき所で毒
牙に掛かろうとするが辛くも助かると言う描写が在った
記憶がある。
その男娼窟に集められていたキャラクターの中に「宇宙
戦艦ヤマト」（※5）の古代進と島大介が居たと言うのも
又時代である。

※5
初回放送74年10月〜75年3月。以後飛び石的に続編も映画
も作られ続けたSFアニメ。戦艦物の祖と言えるのではある
まいか？

※6
近年では暗黙の了解的に12歳から14歳までと決められてい
るらしいショタコンの対象とされる年齢枠。
第二次性徴中の発毛と精通の発現年齢が影響しているらし
い。

※7
少年ジャンプに掲載されていた車田正美原作の拳闘SF。後
にアニメ化。86年10月〜89年4月放映。03年6月現在続編ビ
デオ作品発売中。主人公の年齢は13歳とされている。

※8
『鎧伝サムライトルーパー』
88年4月〜89年3月本放送、後91年にかけてオリジナルビデ
オ作品製作のSF伝奇活劇アニメ。
同人誌界に与えた影響が大きいとされるが、それ以上にこ
の作品によって商業と同人の往来・一種の癒着が拡大した
感も否めない一里塚的作品。
声優各位による各種ユニット結成もこの作品がきっかけで
はなかったか？


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仇花の記憶〜ごく私的なやおい歴史記録〜
増刊第六回　　2003.6.5発行

文責：葡萄瓜XQO
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