★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 仇花の記憶〜ごく私的なやおい歴史記録〜 ☆ 本編第十三回 活字の力? ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ ごきげんよう。葡萄瓜でございます。 約15日ぶり?のご無沙汰でございました。 では、思い出の掘り返しと参りましょう。 さて、此処まで進めて参りましてふと首を 傾げられた方もいらっしゃるのではないの でしょうか。 此処に至るまで、私はやおい小説について 全くと言って良い程述べておりません。図 書の紹介すらしていない筈です。大御所と 目される方々の作品でさえも触れておりま せん。その理由を少し申し上げようと思い ます。 読み専暦を16年程続けて参りますと、様々 な作品を目にします。やおい小説とても例 外ではありません。恐らく(小説JUNE以外 の)小説誌成立も見て来ていた筈です。 にも拘らず今まで小説について触れてこな かったのは、初期に読んだ『作品』で火傷 したからでしょう。 同人誌における初期やおい小説の扱いは漫 画作品に劣らず風当たりのきつい物だった のではないかと思います。彼の駸々堂で扱 われていたある作品なぞ惹句が『変態小説』 でしたから。 でも私が火傷したと言うのは変態小説と称 された作品の『萌え』加減ではありません。 その程度で火傷して寝込んでいた日には漫 画作品を読んで行く事なぞ到底出来ません から。 私が火傷せざるを得なかったのは漫画を其 の侭活字に翻訳した際に生ずる余りのしつ こさとその不整合さ故にです。 かつて漫画家いしかわじゅん氏が自著『漫 画の時間』(1995年11月30日/晶文社→2000年 10月10日/新潮OH!文庫)中に於いて漫画 の一部を文章に置き換えてその伝達情報量 の差を解説すると言う試みをされた事があ ります。(※1) 結果として臨場感は損なわれ、間合いも構 成もヘッタクレも無い珍妙な文章が出来上 がりました。 そして非常に申し上げ難いのですが、この 現象はそのままやおい小説にも適用される 事が多いのです。左様、漫画の文法・展開 方法を使って小説を展開されてしまうので す。それでも上手に展開できる人の作品は 読んでいて苦痛がありません。普通の小説 と何ら遜色なくすらすらと読め、尚且つ萌 えという要素も加わっているから愉しく読 めます。 ある意味、やおい小説は書き手としての真 価を真摯に問われてしまう分野なのだろう と思います。内容だけでは萌えられません。 その内容をきちんと文章に調理して戴かね ば。 反面文章展開が上手くても妄念を其の侭ぶ つけられて頁を捲る手がはたと止まった時 もあります。 実にやおい小説と言うのはバランスが難し いものです。それ故に、なのでしょうか。 ボーイズラブ、通称BLと言う形態が小説JU NE以外の小説誌発祥と共に成長していき、 やがて小説JUNEをも侵食して行きました。 BLを育てたのは漫画よりも小説と言う揺り 籠だったのかも知れません。健やかな成長 をしたかどうかは歴史の証明に任せるとし て。 さて、初期の火傷で懲りた私がやおい・BL 小説と縁遠くなったか?解答は否です。 雑誌を買うという行動に移らず、口コミ情 報と試し読みで判断した単行本を購入する 様になった。それだけの話です。 全く読まないと言う訳ではございませんが、 やおいに関しては漫画との相性の方が私に とっては宜しいようです。 さて、此度はこの辺にてお暇を。 次回配信予定は12/15でございます。年末 進行の慌しき中でありますが、お付き合い 戴ければ幸いです。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ※1 同業?のとり・みき氏の作品を使って解説。 とり・みき氏の作品を使ったが故に試みる 事の出来た事かも知れない。 ======================= 仇花の記憶〜ごく私的なやおい歴史記録〜 本編第十三回 2003.11.30発行 文責:葡萄瓜XQO website:『仇花の記憶』 http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/ mail:xqo_gm@yahoo.co.jp このメールマガジンは melma! http://bbs.melma.com/cgi-bin/forum/m00090840/ Pubzine http://www.pubzine.com/detail.asp?id=22755 メルマガ天国 http://melten.com/m/14637.html Mailux http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533 のシステムを利用して発行させて戴いています。 ご意見ご質問等はmelma!内BBS http://bbs.melma.com/cgi-bin/forum/m00090840/ 他WebサイトBBS等にて承ります。 バックナンバーはサイト内にて公開しております。 再配信ご希望の場合はお手数ですがメール若しくは BBSにてご用命戴ければ幸いです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆