★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 ☆ 第七回 声は密かに萌えを囁く ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 御機嫌よう。葡萄瓜でございます。 では、ゆるゆると雑談をさせて戴きましょう。 やおいショタのオーディオビジュアル媒体が割 に楽に手に入る様になった(愛好家にとっては 誠に)結構な世の中となって参りましたが、百 家争鳴は相変わらず、いや以前より盛んになっ た様に思われます。 それはそうで御座いましょうね。この世界のオ ーディオビジュアル化がかつて「JUNE」(註1) が展開したカセットブックの独壇場であった頃、 他には聴き様がないから皆様貪り聞いていた事 でしょうし、そもそもがそう言う総合情報誌的 な位置にあるのは「JUNE」しかなかったのです から。 但し貪り聴いた…と言っても反応としては誠に 純だった様で御座います。その反応の記録の好 例と致しましては中田雅喜女史の『ももいろ日 記』上下(ユック舎/批評社、1991.1.10初版) 収録の「こけーっこっこっこっ」と題する一挿 話に詳しかった、と記憶しています。上巻下巻 いずれに収録だったかは失念しております。す みません。(註2) *書籍入手困難の見込みが大きいので敢えて 文字にて挿話概略を申し上げますと…中田 女史が業界筋からJUNEカセットを入手し、 聞いている内に気恥ずかしさが極まって鶏 の様に落ち着き無く部屋を走り回ってしま った(と文字にすると非常に味気ない描写 でありますが)と言う事を中心とした展開 であります。 ↑いしかわじゅん氏の実験(註3)を地で やってしまった様な感じですね。 筆者が実際そう言うドラマを耳にしたのはそれ より少々時代が下っての事、ビブロス社から出 たCDドラマ経由でございましたが…行為の部分 では耳が燃えるかと思いました。中田女史の心 情がしみじみと判ってしまった一瞬で御座いま した。 聴いている側も気恥ずかしいもので御座います が、演じられる方も相当に気恥ずかしかろうと 思われます。演者の気持ちに思いを馳せた言及 が『電脳やおい少女』第2巻(中島沙帆子/竹書 房/2003.11.17初版)中にありますね。 閑話休題。それまで心の中の妄想の産物でしか なかった『萌え』が媒体となって入手出来る様 になったと言う事は、少なくとも一つの進化で あったと思うのです。 少なくとも一つのイメージが提示される事によ り、それを起点として更に妄想を補完し、より 一層自分の中に根付かせて自分だけの物語にし てゆく…物語の味わい方もまた一味違ったもの になったのでありましょう。 カセットに吹き込まれた物語は一応完結した世 界ではありましたが、同時により深い世界への 扉を開く鍵であったのではないか、と思うので す。それから10年も経たずして今度はアニメー ションの波が起こるとは誰も予想しなかった頃 の事でございます。 現在流通してるBLドラマ音源も、往時の様に心 に刻まれ膾炙され行く事を願って止みません。 萌えとは一瞬の作用であり、叉そこから何かが 始まる種なのです。それは、昔も今も変わらぬ ものと信じておりますから。 では、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせ て戴きます。次号まで、御機嫌宜しゅう。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 註1 1978(昭和53)年、『コミックJUN』として創刊。 サン出版刊行。第3号より『JUNE』に誌名変更。 1979(昭和54)年一端休刊し1981(昭和56)年 復刊。以降耽美方面の総合誌として、またジャン ルの代名詞になるまでの看板に成長した。 現在本誌は休刊扱い。兄弟誌である『コミック JUNE』『小説JUNE』にその名残を留めている。 註2 なお、この挿話は廣済堂文庫で一冊に編集されて 再販(『純情ももいろ日記』1999.11.1初版)され た際には割愛されている。時代性の故にであるか どうかは定かではない。 なお、中田女史が聴いたのはJUNEカセットシリーズ 第1作目『鼓ヶ淵』(1988.11.30初販/三田菱子原作) との事。当時の編集長から直接手渡されたと作中展 開から伺える。 註3 彼が自著『漫画の時間』(1995年11月30日/晶文社 →2000年10月10日/新潮OH!文庫)中に於いて同業? のとり・みき氏作品の一部を文章に置き換えてその 伝達情報量の差を解説すると言う試みをした。 結果として臨場感は損なわれ、間合いも構成もヘッ タクレも無い珍妙な文章が出来上がった。 ※「仇花の記憶〜ごく私的なやおい歴史記録〜」 本編第十三回(2003.11.30発行)の本文及び傍注1 より引用。 ======================= 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 第七回 2004.3.10発行 文責:葡萄瓜XQO website:『仇花の記憶』 http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/ mail:xqo_gm@yahoo.co.jp このメールマガジンは melma! http://bbs.melma.com/cgi-bin/forum/m00090840/ メルマガ天国 http://melten.com/m/14637.html Mailux http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533 Macky! http://macky.nifty.com/cgi-bin/bndisp.cgi?M-ID=xqo メルカップ http://www.melcup.com/cgi-bin/magazine/magazine.cgi?mag_id=M000000737 マガジンすきやねん http://www.sukiya-nen.com/sys/m.cgi?id=xqo のシステムを利用して発行させて戴いています。 ご意見ご質問等はWebサイトBBS http://bbs.infoseek.co.jp/Board02?user=bxqo にて承ります。 又連動BLOG「ショタやおい雑記」も運営しております。 http://blog.melma.com/00090840/ こちらも宜しくお願い致します。 バックナンバーはサイト内にて公開しております。 再配信ご希望の場合はお手数ですがメール若しくは BBSにてご用命戴ければ幸いです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆