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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第二巻参拾壱回　　閉鎖空間よりの再録
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
今回はソーシャルネットワークの一つである
mixiに於いて筆者が詠ませて戴いたボーイズ
ラブを題材にした三十一文字を再録し、創作
分野の間口を広げる事が可能か如何かを考え
る一助にしたいと思います。
なお、一首毎の解説坏は野暮ですので省略さ
せて戴きます。
○●○

教科書の余白一言そっと書き
友の振りしてそっと返却  

七夕に重ね思うは君と吾
離るる毎に想いは重く  
 
雨だれにそっと涙を紛らせる
トラック伴走失恋道中  

真夜中の砂の褥に横たわり
ただ息交わす混じり給えと

恋心幼心に紛らわせ
そっと寄り添う年上の男

写し絵の如き心と体をば
ただ持て余す恋の前では

秘め心炭火の侭で保ち居て
君の前にて灰になりたし

夏服の裾の肌蹴に恥らうは
君だけに非ず吾も未だに

半袖のカッターシャツの汗染みに
君思う夏まだ壮んなり

夏休み長く短き逢瀬なれ
机の裏に言葉刻みて

愛しさにつれなさまぶし打ち返す
夏の陽強きコートに汗散り

照れ隠し子供の様にじゃれ合って
ハーフパンツに隠す秘め事

置き傘の柄にシャーペンを走らせて
密かに刻む二人の名前

だらだらと只歩いている振りをして
さり気無く影絡ませてみる

素っ気無く距離置き歩くも影絡み
ふっと気付いて抜き足差し足

理性では友で居ようと思えども
感情膨らみ吾押し潰す

貸し借りるタオルの中で汗混じる
想像せぬ様仏頂面に

夏休み不埒に友と戯れて
よろめき進む細き恋路を

抱かれても男の心捨てきれず
愉楽にそっと抗ってみる

身に纏う衣の少なくなる夏に
心の衣はあつく重なり

夕立に紛れる様に相合傘
雨が止んだら他人の顔で

肌寒き風に託け寄り添いて
心拍数で真の会話

垣間見る笑顔に思い揺らぐ秋
ただ淡々と友の芝居す

恨めしき鈍き相方秋の空
口篭るのは誰の所為だと 

ざわめきの中でさらりと聞き分ける
君の静かな溜息一つ

秋雨のかはたれ時に泣き濡れて
己の中の何かに惑う

○●○
さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
では次回配信まで、御機嫌宜しゅう。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第二巻参拾壱回　2005.11.20発行

文責：葡萄瓜XQO
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