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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第二巻参拾回  造るもの造られるもの  
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
今回は由無し事を短く幾つか綴らせて戴きます。
○●○
電子出版に拠ってかつて発行されたオリジナル
BLアンソロジーが復刊されている、と言う動き
がございます。
その流れに乗って同人誌再録アンソロジーもい
つかは電子書籍化されて再流通と言う事になる
のでしょうか?
そう言う再録アンソロジーシリーズから更に作
家さん毎のセレクション、商業作家さんで言う
所の単行本が発行されているという動きは存じ
ておりますが、その動きは同人誌再録アンソロ
ジーの存在が公認されたと言う証しではござい
ますまい。
そう言うアンソロジーの存在はいまだ(原典管
理者の)黙認の上で成り立っている不安定なも
のなのやも知れません。それ故に一部に於いて
公認と言う事を条件に持ちつ持たれつになって
いると受け止められる様な状況も生まれるのや
も知れませんが。
○●○
盛況で終わった様子のYAOI-CON2005。筆者は早
くも2006年度開催回のゲストの事が気になって
今迄の傾向から考えるならばあさぎり夕さんか
四谷シモーヌさんでは無いかと個人的に思って
おります。或いは転機と言う事で男性作家をゲ
ストに迎えようという動きもあるやも知れませ
ん。
YAOIに於いては男性作家の存在を其の侭受け止
められている様ですので。そうなったらそうな
ったで何方が招聘されるかと言うのが注目の的
になるのでしょうか。
或いはSHOTAにスポットが当るのでございまし
ょうか。
○●○
『JUNE』がJUNE的な感性からやや過激なBL風の
感性の世界に移行して久しゅうございます。尤
も『JUNE』自体本来はなんでもありと言う過激
さを秘めていた様でございますが。
『JUNE』の現状は先駆者の孤独と時代への迎合
の象徴なのでございましょうか。JUNE的感性が
雲散霧消した訳ではございますまいに。
JUNE的感性以外のもので『JUNE』の追随誌を作
ったとしてもそれは『JUNE』と似て非なるもの
になろうかと思われます。例え製作陣に『JUNE』
関係者が携わっていたとしても。
○●○
作られる流行と生まれ来る流行。ネット出現以
前のショタやおい界隈の流行は後者が優勢の様
に見えておりました。が、ふと思うのです。そ
の状況から更に同人誌再録アンソロジーの存在
を取り払ったらどの様な状況になったのだろう
か、と。生まれ来る流行と見えていたのは、実
はアンソロジー発行に拠って作られた流行なの
ではなかったのか、と。
更に言えば、同人誌再録アンソロジーと言う土
壌が存在しなかったら、ボーイズラブと言う波
が出現する下地は出来たのだろうか、と。
詮無い自問自答でございますが。
○●○
漫画の文庫化と言う現象に伴いボーイズラブ作
品も幾つか文庫化されている様でございます。
佳作の補完と言う点では賛同したいのでござい
ますが、文庫と言う存在の意義を思い照らし合
わせますと些か首を傾げてしまいます。
含羞の砦は何処かにか持って置きたいものです。
社交上に於いても必要ですし、その含羞が時に
作品の風味を増幅する事もあるのですから。
正直に申し上げますと、文庫本では時に細部が
確認し難い時があるのです。造本上の問題も些
か関係するのでしょうが。
○●○
さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
では次回配信まで、御機嫌宜しゅう。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第二巻参拾回 2005.11.10発行

文責:葡萄瓜XQO
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