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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第二巻参拾四回  閉鎖空間よりの再録/2
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
今回はソーシャルネットワークの一つである
mixiに於いて筆者が詠ませて戴いたボーイズ
ラブを題材にした三題噺を三篇再録し、御肴
代わりにして戴きたく思います。
なお、出題者に就いては伏せさせて戴きます。

○●○
「幼馴染/喧嘩/誕生日」 
  
 選りにもよって想い人と誕生日に喧嘩する、 
と言うのは劣悪な状況だと思う。少なくとも 
謝る為の口実を端から一つ失っているのだか 
ら相当に分が悪い事は確かだ。 
 しかも性質が悪い事にこの想い人は僕の幼 
馴染であり、更に言えば血縁でもある。つま 
り手の内は九割九分九厘読まれていて在り来 
りな謝り方では喝破されてしまうだろう事は 
容易に予測できる。 
「ど、どおしよう」 
 などと鏡の前で狼狽えた所で明答が浮かぶ 
訳も無く、ただ冷や汗で服が濡れていくだけ。 
考えあぐねた挙句、一番シンプルな方法を採 
る事にした。 

 「メール添付にしようかとも思ったけどさ。 
多分メールボックスに余裕がないだろうな、 
と」 
 PCの画面には、確り赤ペンの入った僕の手 
紙の画像が映っている。意地悪な笑いに意趣 
返しかよ、と上目で睨む。喧嘩の原因は確か 
にメールだけどさ。 
 「メール添付にしたら、歯止めが利かなく 
なりそうだったしね」 
 そして、耳に暖か味と湿り気。 
○●○
「七夕/かき氷/浴衣」 
 
 二人共ただ黙ってかき氷の山を崩していた。 
一言も交わさず。視線さえも交わさず。浴衣が 
しっとりと汗ばんでも、お互い、何を気遣う事 
も無く。 
 山を崩し終えた輝はしばし氷の器を見つめ、 
意を決した様に捧げ持ち口元に運んだ。抑えた 
息遣いと共に動く輝の喉元を、一志はそっと 
横目で見ていた。 
 たん、と音立てて器を置いた輝の目は先程 
からの懸案に対する決意で燃えている。その 
目の色を見て、一志は嘆息と共に諦めを軽く 
吐き出した。 

 「歪んでる。書き直し」 
 「いーじゃんよ、これっくらい」 
 「砂舞先生が許しても僕が許さない」 
 一志は心底輝の誘いに乗ってお泊りにきた 
事を後悔していた。布団の上の事だけでの 
お誘いと思っていたのに何で今自分は輝に 
怒られながら七夕の短冊を書いているのか。 
答えは簡単。輝は習字の段持ちで一志は字が 
下手だからだ。 
 「二人の願い事を書くんだから、変な字で 
書かないでよね」 
 頬に熱い感触。これって御褒美だろうか。 
○●○
「梅雨/かたつむり/紫陽花」 

 「紫陽花の如き君なれば、か」 
 「何か言った?」 
 「さぁ?」 
 「ふぅん」 
 彼は私の誤魔化しに然程関心を持たず、
かたつむりとの 戯れに心を傾けていた。
そう言う所は幾ら夜の表情が艶を帯びて
いても子供だな、と思う。だからこそ紫
陽花にも準えたくなるのだ。 
 「貴方もこちらに来れば?」 
 「梅雨に濡れる趣味は無いな」 
 「人目がないからいいじゃない」 
 そう声をかけてくる彼は素肌に雨具だ
けを羽織っている。塀に囲まれた庭先だ
からこそ出来得る格好だ。 
 「悪い子だな」 
 「こう言う遊びの方が好みでしょ?」 
 「悪くはないな」 
 そう。誘ってくれているのだからそれに
乗らないのは失礼に当たるだろう。 
 私が庭に足をつけたと同時に、彼は雨具
を躯から滑り落としていた。言葉だけでは
なく、体でも誘っていたのだと証明する様
に。 
 かたつむりは恥じらいを感じて退散した
らしい。 
○●○

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
巻末になりましたが来年度以降の予告をば。
来年度発行分より当マガジンの発行頻度を月2回
に変更し、発行日も毎月10日及び25日とさせて
戴きます。
一足早目のご挨拶ではございますが、来年度も
何卒当マガジンをご贔屓に。
では次回配信まで、御機嫌宜しゅう。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第二巻参拾四回 2005.12.20発行

文責:葡萄瓜XQO
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