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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第三巻参回  偶然は時に必然
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
では、つらつらと綴ってまいりましょうか。

今回お話の肴と致しますのはやおいとの対立概
念とされている「JUNE」の語源に就いて、でご
ざいます。語源と申し上げるよりは誌名の発祥
に就いて素人目から資料に基づいて憶測する、
と言う方が正しゅうございましょうか。

先ず、雑誌『JUNE』所謂大JUNEは1978年10月に
『comicJUN』として産声をあげました。この
『JUN』についての由来は定かには語られておら
ぬ様ですが、2号及び3号に於いて「JUN文学」を
集めると言う企画頁が掲載されている事から純
ではなくJUNなのだと言う洒落を目指したものか、
と推測する事が可能かと思われます。
実際『comicJUN』創刊号の内容を見ますと、「J
-UNE」≒耽美と言う見識を揺るがせかねない感
じの混沌が渦巻いております。爆発ついでにや
おい風二次創作イラストが見開きで掲載されて
いるのですから。
さて、その『comicJUN』が『JUNE』となったの
は1979年2月発行の第3号に於いての事。それも
全く以って不意討ちの事態であった様です。表
紙及び編集子の言こそ改題を様々に謳っており
ますが、寄稿子及び読者にとっては寝耳に水と
言う状態だった模様です。「JUN文学」も「JU
-NE文学」と改題しては居りますが、活字のサ
イズを無理矢理に嵌めこんだ故にか「JUNE」の
文字がかなり浮き足立って見えるのです。表紙
のロゴデザインはしっくりと嵌っておりますが。
そしてご記憶戴きたいのはこの号では改題の理
由を編集子側は一切明かしていない、と言う事
です。思わせぶりな予告はなさっておりますが。

そして発行された改題第2号とも言うべき通巻4
号。編集部からの言葉として簡略な説明がござ
いました。
真相はと言うと株式会社JUN【註1】の商標〈JUN〉
と『comicJUN』の〈JUN〉が紛らわしいとの理
由で大人の話し合いが持たれた【註2】か、『c
-omicJUN』側の自粛があった模様です。
多分その件がなければ誌名は『JUN』のまま継
続したのかも知れません。ただ、それで後年こう
言う風に膾炙されるまでに発展したかどうかは
判りませんが。

では、巷間で言われている『JUNE』の由来はフ
ランスの作家ジャン=ジュネと言う説は何処から
来たのか。
此処に面白い雑誌記事がございます。
『小説JUNE』通巻144号(2002年10月号)収録記
事“『さぶ』大辞典内”の『さぶ』編集長及び
同誌看板挿絵師の木村べん氏へのインタビュー
記事がそれです。『さぶ』とはどう言う雑誌かと
掻い摘んで申しますと1974年に創刊された男性
同性愛者向け雑誌でございまして、『JUNE』と
同じ版元で在る処のサン出版より発行され、2001年
その歴史に幕を閉じております。
さて、そのインタビュー記事冒頭で『さぶ』の
誌名決定時の裏話に就いて触れられており、以
下の二点が述べられているのです。

*『さぶ』は元々『JUNE』と言う誌名になる筈
だった。
*『JUNE』の由来はジャン=ジュネ。

両者共に興味深い証言です。殊に第二点は。も
しかしたらこの裏話が定説の方便として転用さ
れたのやも知れませぬ。或いは偶然なのやも知
れませぬが。
定説とは時に色々な情報を含むものでございま
す。その情報が虚構であっても真実を導く為の
方便と為り得る事もあるのですから。
『JUNE』は『JUNE』たる様に偶然が色々と導い
ていたのやも知れませぬ。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
では次回配信まで、御機嫌宜しゅう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
註1
www.jun.co.jp

註2
参照文献
『消えたマンガ雑誌』新保信長:編
メディアファクトリー/2000.2.14初版
ISBN:4840100063
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一部読者様にお知らせ。RanStaとmelma!が来る
2月22日にサービス統合の運びとなるそうでご
ざいます。この統合に伴う読者様側の作業の類
は一切発生致しません。何卒其の侭ご愛読戴け
れば幸いです。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第三巻参回 2006.2.10発行

文責:葡萄瓜XQO
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