★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 ☆ 第三巻参回 偶然は時に必然 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 御機嫌よう。葡萄瓜でございます。 では、つらつらと綴ってまいりましょうか。 今回お話の肴と致しますのはやおいとの対立概 念とされている「JUNE」の語源に就いて、でご ざいます。語源と申し上げるよりは誌名の発祥 に就いて素人目から資料に基づいて憶測する、 と言う方が正しゅうございましょうか。 先ず、雑誌『JUNE』所謂大JUNEは1978年10月に 『comicJUN』として産声をあげました。この 『JUN』についての由来は定かには語られておら ぬ様ですが、2号及び3号に於いて「JUN文学」を 集めると言う企画頁が掲載されている事から純 ではなくJUNなのだと言う洒落を目指したものか、 と推測する事が可能かと思われます。 実際『comicJUN』創刊号の内容を見ますと、「J -UNE」≒耽美と言う見識を揺るがせかねない感 じの混沌が渦巻いております。爆発ついでにや おい風二次創作イラストが見開きで掲載されて いるのですから。 さて、その『comicJUN』が『JUNE』となったの は1979年2月発行の第3号に於いての事。それも 全く以って不意討ちの事態であった様です。表 紙及び編集子の言こそ改題を様々に謳っており ますが、寄稿子及び読者にとっては寝耳に水と 言う状態だった模様です。「JUN文学」も「JU -NE文学」と改題しては居りますが、活字のサ イズを無理矢理に嵌めこんだ故にか「JUNE」の 文字がかなり浮き足立って見えるのです。表紙 のロゴデザインはしっくりと嵌っておりますが。 そしてご記憶戴きたいのはこの号では改題の理 由を編集子側は一切明かしていない、と言う事 です。思わせぶりな予告はなさっておりますが。 そして発行された改題第2号とも言うべき通巻4 号。編集部からの言葉として簡略な説明がござ いました。 真相はと言うと株式会社JUN【註1】の商標〈JUN〉 と『comicJUN』の〈JUN〉が紛らわしいとの理 由で大人の話し合いが持たれた【註2】か、『c -omicJUN』側の自粛があった模様です。 多分その件がなければ誌名は『JUN』のまま継 続したのかも知れません。ただ、それで後年こう 言う風に膾炙されるまでに発展したかどうかは 判りませんが。 では、巷間で言われている『JUNE』の由来はフ ランスの作家ジャン=ジュネと言う説は何処から 来たのか。 此処に面白い雑誌記事がございます。 『小説JUNE』通巻144号(2002年10月号)収録記 事“『さぶ』大辞典内”の『さぶ』編集長及び 同誌看板挿絵師の木村べん氏へのインタビュー 記事がそれです。『さぶ』とはどう言う雑誌かと 掻い摘んで申しますと1974年に創刊された男性 同性愛者向け雑誌でございまして、『JUNE』と 同じ版元で在る処のサン出版より発行され、2001年 その歴史に幕を閉じております。 さて、そのインタビュー記事冒頭で『さぶ』の 誌名決定時の裏話に就いて触れられており、以 下の二点が述べられているのです。 *『さぶ』は元々『JUNE』と言う誌名になる筈 だった。 *『JUNE』の由来はジャン=ジュネ。 両者共に興味深い証言です。殊に第二点は。も しかしたらこの裏話が定説の方便として転用さ れたのやも知れませぬ。或いは偶然なのやも知 れませぬが。 定説とは時に色々な情報を含むものでございま す。その情報が虚構であっても真実を導く為の 方便と為り得る事もあるのですから。 『JUNE』は『JUNE』たる様に偶然が色々と導い ていたのやも知れませぬ。 さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて 戴きます。 では次回配信まで、御機嫌宜しゅう。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 註1 www.jun.co.jp 註2 参照文献 『消えたマンガ雑誌』新保信長:編 メディアファクトリー/2000.2.14初版 ISBN:4840100063 ☆★☆★☆★☆ 一部読者様にお知らせ。RanStaとmelma!が来る 2月22日にサービス統合の運びとなるそうでご ざいます。この統合に伴う読者様側の作業の類 は一切発生致しません。何卒其の侭ご愛読戴け れば幸いです。 ======================= 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 第三巻参回 2006.2.10発行 文責:葡萄瓜XQO website:『仇花の記憶』 http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/ mail:xqo_gm@yahoo.co.jp このメールマガジンは melma! http://www.melma.com/backnumber_90840/ メルマガ天国 http://melten.com/m/14637.html Mailux http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533 RanSta http://www.ransta.jp/backnumber_2939/ メルカップ http://www.melcup.com/cgi-bin/magazine/magazine.cgi?mag_id=M000000737 マガジンすきやねん http://www.sukiya-nen.com/sys/m.cgi?id=xqo のシステムを利用して発行させて戴いています。 ご意見ご質問等はWebサイトBBS http://otd11.jbbs.livedoor.jp/adabana/bbs_tree にて承ります。 又連動BLOG「ショタやおい雑記」も運営しております。 http://xqosy.seesaa.net/ こちらも宜しくお願い致します。 バックナンバーはサイト内にて公開しております。 再配信ご希望の場合はお手数ですがメール若しくは BBSにてご用命戴ければ幸いです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆