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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第四巻参回  寸胴鍋の上下
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
さて、つらつらと綴って参りましょうか。

昨今のやおいショタの作品評価の場に臨んで筆
者が思いますのは、在る様で無い基準によって
場が常に踊らされているのではないかと言う懸
念です。もっとあっさり言いますと、嗜好の多
数決で趨勢が決まっているに過ぎない、と。
実際の所、筆者には一部の方が仰る様な絵柄の
流行がどうこうと言う部分がどうもピンと来な
いのです。傾向としては理解できるのですが、
それが流行であり主流であると説かれるとどう
も首を傾げてしまう。
流行の意味合いが違うのだと考えれば納得も出
来るような感じかも知れません。つまり、流行
と言う大河があってその中に違うものが点在す
るという感じではなく、流行の小河川が幾つか
並行して走って現在と言う大河を構成している
のだと。もっともこの仮定とても全てを説明出
来る程の明瞭まものではないだろうと筆者自身
思っております。
が、とりあえずこの仮定に従って考えを少し進
めてみると致しましょう。

昨今の主流の捉え方は客観的なものではなく非
常に主観頼りなものとなっております。むしろ
主張する事で主流であると認識されるかの様に。
それは、その流行の流れがそうしないと維持出
来ないと言う自信の無さの表れではありますま
いか?
本流であると言う自信があるならば、主張する
その手間を妄想醸造に回してじわじわと発酵を
進めていようかと思うのです。
以上は筆者がそう感じる所もある、と言う一つ
の考えであって実際はそれ程の裏も無い単純な
事であるのやも知れません。
ジャンルと言う区分にしたとて実際は一枚岩と
言う訳ではなく、最大公約数に拠っての誼で結
ばれた結束であり、その衰退と言うのも活動が
動的なものから静的なものに移行する人の割合
が増えるだけの事。愛好者自体が減ると言う訳
ではないのでしょう。
正確に過去を振り返る事を望むならば、敢えて
渦中から我が身の位置をずらす必然があるのや
も知れません。

昨今、作品内容の濃厚さについても議論がある
様でございます。
愚考しますに分野の味わいの濃淡は寸胴鍋一杯
のカレーの上下の様なものでありまして、適度
適時に均一な混ぜ返しがないと上の方では口当
たりがさらりとし過ぎているというので物足り
なく感じて香辛料をどしこんで刺激的になり、
下の方ではもったりと具が溶け合っているもの
だから味が濃厚になり過ぎて好きな人しか中々
味わい尽くそうとなさらない、と言う感じでご
ざいましょうか。
では、上下をしっかり混ぜ返して均一な味わい
にした方が良いのかと問われればさにあらず。
濃淡激静の差があればこそ分野の活性化が図ら
れるという側面もございましょう。
上に行っても下に行っても寸胴鍋の中にいる事
には違いはございません。ならば、いっそ寸胴
鍋の中を一通り巡るのもまた一つの道ではあり
ますまいか。
様々なものの中から好みを探すというのも、又
乙なものでございますし。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。

ここで少々宣伝をば。
2月12日(月曜日/祝日)、東京都立産業貿易
センター・台東館七階にて行われる少年系総
合同人誌即売会『ショタスクラッチ2』に於
きまして筆者は第1回に引き続きカタログ掲載
コラム『ショタコンのゆりかご』を書かせて
戴きます。
ご来場及びご高覧戴けましたら幸いです。
※ショタスクラッチ公式 
     http://syotaratch.com/※

では次回配信まで、御機嫌宜しゅう。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第四巻参回 2007.2.10発行

文責:葡萄瓜XQO
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