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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第四巻五回  煩悩と萌えの維持
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
さて、つらつらと綴って参りましょうか。

唐突ですが書き手、あるいは描き手の方にお聞
きします。
あなたはどの様にして自分の創作意欲を掻き立
て、維持していますか?

やおいやショタの世界では、時に自身の創作意
欲よりも読み手の感想による触発が優先される
状況が散見されます。悪い事ではありません。
モチベーション維持の為には有効な手段であり
ます。
同人誌として発行されない限り金銭は発生しま
せんが、これは商業作家さんのモチベーション
維持の手法と一脈通った部分があると筆者は愚
考します。反響により意欲を掻き立てられ、次
の一歩を踏み出そうとする事が出来るのですか
ら。
しかし、です。ここで取り違えをしてはいけな
いでしょう。
創作物への反響には好む好まざるに拘らず『波』
が存在します。個人の感情に掛かるものや、ま
た世間の風潮に掛かるもの様々に。
その『波』を考慮の外に置き、そして常に自分
にとって好ましいだけの触発を期待し、暗に要
求する…そうしたい気持ちは筆者も創作者の端
くれですから理解は出来ます。
でも、そう言う選別された外部刺激には限界が
あるのです。反面、とり憑かれた要求には恐ら
く限界がないのです。
健全に創作を維持したいと思うならば、刺激と
内部欲求のバランスを崩さぬ努力が必要とされ
るでしょう。それを言ってはおしまいでしょう
と言う事柄でありましょうが。

さて、次いで煩悩の維持ですが、これは難しい
様で実は簡単です。
煩悩がワンパターンで飽きるというのは、実は
自身の中で定型を作って安住してしまっている
場合が多いのです。
定型をほんの少しずらしてやれば刺激は大なり
小なり発生する筈です。
一例を挙げてみますと手の繋ぎ方ですとか。
指先だけ触れるようにして繋ぐのか、手のひら
全体をお互い包み合わせる様にして握るのか。
その一点を変えるだけでも二人の関係性の暗示
になる事でしょう。後はそこに少しずつ小ネタ
を付け加えてゆくのです。緊張の為の汗ですと
か、少し高い体温ですとか。
妄想は、ただ放置しておくだけでは上手に発酵
してくれません。自分なりの一手間を加えてこ
そ妄想は完成します。そして、愛しさも生まれ
てきます。

さて、創作のモチベーションと煩悩が揃えば後
はじわじわ掻き立てて書いてゆくだけになりま
しょう。書き方の過程に関しては一律な方法が
明示されている訳ではありません。大まかなプ
ロット(粗筋)を作り上げた上で事に当たる方
もおいででしょうし、迸るままに筆を走らせる
方もおいででしょう。
とりあえず書く事です。さすれば道は見えてき
ます。筆者も書いてゆく内に創作に於いて自分
の行く先を見出しました故。
そして、妄想の形成を楽しむ事です。筆者の経
験上から申し上げれば、先ず話を頭の中でまと
める時点で少し盛り上がります。ついで、書き
出す前に構成して行く段階で少し落ち込みます。
正確に言うなら悶々と致します。そして書き始
めて筆がのってきて妄想が勝手に動き出すと楽
しさが鰻上りになってまいります。その過程一
通りが楽しいと思える様になったのならしめた
ものではないでしょうか。
作者が書く過程を楽しんだであろう作品は、読
んでいる側も楽しくなるものです。筆者もそう
言う作者でありたいと思っております。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
では次回配信まで、御機嫌宜しゅう。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第四巻五回 2007.3.10発行

文責:葡萄瓜XQO
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