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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第七巻六回  小説「弾幕越しに」
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回、お楽しみ戴ければ幸いです。

○●○

  弾幕越しに
                          XQO

 今日も布団に潜り込まずに一夜を過ごしてし
まったらしい。やっていた事は艶消しこの上な
いのだが二人で何事か遣っていると思うとつい
口元が緩むのは良い傾向なのかも知れない。傍
から見たら本人達以上に艶消しに思うのだろう
けど。
 一息ついているとメッセンジャーのアラート
窓が立ち上がっていた。まだ遣り足りないとい
うのか性懲り無い奴だと思いつつ一言返す。
 『ったく。日を改めて、と言う語彙はないの
か君の中には』
 『おやすみの挨拶について君が忘れていなけ
ればね』
 『…スミマセン』
 僕達二人が先刻まで遣っていたのは回線越し
の逢瀬。
 視聴者が字幕入力システムを用いてツッコミ
を入れる事が可能になっているインターネット
配信の生放送。概ね時間枠によって区切られて
いるし配信者にも都合があるので定刻通り終わ
る番組が大半だけど、時折権限を駆使して視聴
者と一晩掛けて付き合ってくれる有り難い配信
者も居る。最近はそう言う配信者が毎夜の様に
現れるので正直目を離している暇が無い。付き
合い方にもそれぞれ個性があって面白いし。
 それこそ一から十まで作りこんで後は生放送
の利点を遣って細部を処理する人やその場その
場のアドリブで上手に繋いで駄弁りに徹する人、
自分は背景音響配信者だと宣言してひたすら演
奏しつつツッコミに応じてアドリブ演奏をかま
す人。まあ、真夜中をどう遣おうと自由なんだ
けど配信側も視聴側も良く体力が持つよなと自
嘲したくなる時がない訳じゃない。
 で、そう言う場を拝借してさりげなく逢瀬を
重ねていたと言う訳。何故そう言う場を拝借す
るか?
 生後一週間から十八年間常に顔をつき合わせ
た状態で新鮮な話題を常に見つけて会話出来る
方法があるなら何卒教えて欲しい。何しろ離れ
ているのは互いに自宅に帰った時程度で、それ
も多分もう直ぐ二人で延々過ごす時間に入れ替
わろうと言うのだ。進学と同時に同居すると言
う運びになっているから。そう言う環境下で倦
怠期を感じずにしかも猥雑にならずに新鮮な気
持ちになる方法は、と検討して辿り着いた結果
が生放送経由の逢瀬だ。これなら話題も共有出
来るし、一体感を感じる事も出来る。
 四六時中一緒に居る事を厭う訳じゃない。心
地良い事だけれどもそれと引き換えに普通の会
話が無くなってしまうと言うのが自覚出来てい
るから時折疎ましさを感じてしまう。
 それよりは物理的距離を積極的に置く事で互
いの新しい部分を見つけながら歩み寄る方がま
だ建設的なんだろうと思う。贅沢な対処法なん
だろうけど。
 或いはあのセンテンスブログ・どいんぐを遣
うと言う手もないでは無い。と、思いかけたも
のの一寸考えて自重した。自分達の発言だけで
埋まる一覧画面を想像するとそれだけで気分が
萎える。二人連歌とでも洒落込んだらまだ許容
範囲かも知れないけど。
 どうせドサクサ紛れの睦言なのだ。それなら
弾幕の中で流してしまった方が余程気楽で楽し
い。ああ言う雰囲気の中だとお互い恋愛を離れ
た素の部分も出せるし。一つ気をつけて置くべ
きは配信者に気が向かない様にだけ自重するっ
て事か。一応相思相愛って事ではあるんだけど
今までお互い以外を知らなかったからこそ成り
立っている関係でもあるので、そう言う揺らぎ
が来たら自分がどう暴走するか未知数な部分が
大きい。
 恋人じゃなくなっても友達で居たい、そんな
間柄で終りたいから。贅沢な言い草ではあるん
だろうけど。

 『そういえばさ』
 『ん?』
 『さっきの、本気?』
 『どれ?』
 『受け止めるのも男でしょ、って奴』
 『ああ、あれね』
 『うん。で、どうよ?』
 『遊びじゃ言えないでしょ』
 『そか』
 『とりあえず同居後に時期を見て、って感じ
?』
 『だね』
 一言の背景の種明かしもまた睦言に入るだろ
うか。
 『じゃ、おやすみ』
 『じゃ、又学校で』
 そして暗転する壺中天。日常の比重が重くな
れば次第に疎遠になるのだろう。
                  【了】

○●○

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
ここで一つ喧伝を。

筆者が後援しておりますコミックカフェ・CAFE
801(カフェハチマルイチ)におきまして、31日
までJUNEが生み出した名作と誉れの高い『間の
楔』とのコラボ企画・「間の喫茶」が開催され
ております。
本日25日から28日に掛けての4日間は男性も入店
可能となっております。
名作の生み出した世界とはどう言うものである
か、この機会に触れてみるのもまた良いのでは
ないでしょうか。
詳細は店舗公式サイトにて御確認下さい。
*******

CAFE801(カフェハチマルイチ)

〒170-0013
東京都豊島区東池袋3-10-6
加藤第6ビル2階

http://cafe801.org/

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では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第七巻六回 2010.3.25発行

文責:葡萄瓜XQO
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