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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第七巻七回  押し付けられる温度差
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
さて、つらつらと綴って参りましょうか。

今回は昨年6月と9月に配信した海外から輸入さ
れたBL作品を廻る雑考を元に、何故それらが余
り知られる事なく現状に至っているのかを筆者
なりに想像してみたいと思います。
恐らくマーケティング云々の一助となる事はな
い埒無き考えでございましょうが。

さて、皆様は海外産のYAOIと先ず耳にしてど
ういう傾向を想像されるでしょうか?
筆者自身はと言えばそれらを説明する際に手っ
取り早く性描写を秘匿するかしないかから話を
進める事が多かったのではないかと回顧します。
修正の有無の認識で変わる部分と言うのは存外
大きな部分でございましたし。
その過程で筆者が自明の理であると合点して余
り積極的に触れて来なかった点が一つございま
す。それは海外…筆者が触れてきたアルファベ
ット使用圏ではBL及びYAOIは年齢制限と言う枠
の中に囲われた作品であると言う点です。
これは表現と年齢に対する本邦とそれ以外の国
での認識差異によるものです。性表現だけで云
々できる点ではないでしょう。
そう言う差異は話の際に何方の念頭にも存在す
るのだと合点して筆者は敢えてその点に触れず
に来ました。
ただこれは翻ってみれば本邦でやおいBLショ
タが外部から取り沙汰される時の視点と良く似
ているのですね。それこそそう言う部分のみを
抽出されてそこだけで云々論じられていたりす
る。或いは商品価値を量られる。
そして内側からはそれだけじゃないからもっと
良く見てくれと言う声が上がったりも致します。
実際読み込まれなければ良さが判って貰えぬ作
品と言うのは存在致しますし。
海外産のYAOIも実はそうなのです。
きちんと紹介される機会が無かったから本邦か
ら観て珍奇と思われる面だけに焦点が当たった
だけであり、実際読み込んでみるとそれ以上に
読み応えのある世界であったりするのです。
でもそう言う機会を得る為には先ず紹介される
必要がある…と言う堂々巡り。ある意味本邦の
BLの山から好みの一冊を掘り出す以上に難儀な
話でありましょう。
二の足を踏まれ易い一因としては価格と言う壁
もございましょう。
例えば単行本一冊をとっても少なくともAmazon
経由で入手する場合本邦のBL単行本の平均価格
・600円前後から下回る価格の海外YAOI新刊を
入手できる可能性は皆無と言って良いでしょう。
概ね1000円前後と言う認識で臨む必然性が出て
参ります。それを作品に対する正当な対価とし
て認められるかどうかでございましょう。
例えば本邦作品の翻訳版であれば価値をすんな
り認められるかも知れませんが、本邦の作風を
模した作品の場合は恐らく未知であるが故に二
の足を踏まれ易いかと。
邦訳され紹介された海外二作品…『IN THE END』
と『絶頂』が余り知られる事なく埋もれざるを
得なかったのはその辺りの要素が絡み合った上
の事であったのだろうと筆者は愚考します。
その状況下で生じた温度差を読者だけに覆させ
ようとする状況と言うのは一読者として率直に
申し上げれば版元の怠慢としか申し上げ様があ
りません。
例えば『絶頂』の場合、原著者であるYoung-Hee
Lee女史による後描きが邦訳版では見事に省かれ
ていますが、それを忠実に巻末に付していたな
ら又違った反響が得られたでしょう。続刊邦訳
を望む声も高く上がったやも知れません。実際
この作品のクライマックスは邦訳分の後に訪れ
るのですから。
又、『IN THE END』の場合、原著であるドイツ
語版と英訳版それぞれに違った後描きが附され
ていた様子。そして邦訳版は恐らくドイツ語版
に準拠したものと思われます。
仮に英訳版の後描きが邦訳版の巻末に附されて
いたならば、流通状況は又違ったものになった
のかも知れません。

これから海外産のYAOIが邦訳され紹介される機
会が再び巡り来るやも知れません。
そこから豊な実りを導くも導かないも、対峙の
匙加減一つなのでしょう。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
ここで一つ喧伝を。

筆者が後援しておりますコミックカフェ・CAFE
801(カフェハチマルイチ)におきまして、11日
までJUNEが生み出した名作と誉れの高い『間の
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ております。
名作の生み出した世界とはどう言うものである
か、この機会に触れてみるのもまた良いのでは
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では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。

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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第七巻七回 2010.4.10発行

文責:葡萄瓜XQO
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