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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第八巻拾弐回  小説「いっつあごうるでんたいむ」
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**第七巻弐拾号より横幅を
         若干拡げて配信しております**

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3月11日に発生しました東北地方太平洋沖地震(東北
大震災)にて罹災した皆様方に心からお見舞い申し
上げます。
居住地の差異の為たまたま罹災しなかった筆者に出
来ます行動は限られておりますが、幾許かが皆様の
潤いに繋がりますならば幸いです。

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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回、お楽しみ戴ければ幸いです。

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   いっつあごうるでんたいむ
                   XQO
                                
 「なんじゃ、これは?」
  様式に則った僕の問いに彼も様式に則って返す。
  「例の山吹色のものでございます」
  そして、含み笑い。
  「のぉ、越後屋」
  「ハイ」
  「おぬしも、悪よのぅ」
  「お代官様もお人が悪い」
  ハイ、共犯意識、成立。
  サフランライスのカレーを食べに出る度にこう言
う様式美をやってるんだからバカップルと言うのは
実に始末が悪い。
  
  こう言う風な様式美を遣る様になったのは付き合
い出して好い加減になるし年頃も好い加減だからと
言うので同居を決め、その為の身辺整理をお互いに
し出した三年前辺りからだ。
  きっかけになったのは彼の家にあった一通の古文
書。
  「なんかうちってさ、元々は越後屋だったらしい
んよ」
  身辺整理の息抜きと予定構築を兼ねたお茶の席で
相方が妙に浮かれて言った。
  「越後屋って…あの越後屋?」
  「あの越後屋らしいね」
  「……よく血族が続いたな」
  「なんかお代官様に上手く手続きして貰って、と
りあえず普通になったみたいね」
  「へぇ」
  と、そう言う遣り取りがあった後で俺は実家で愕
然とする事になる。偶然だとしたら余りに神様も様
式美が好き過ぎる。俺の血筋がその当のお代官様の
血筋だったなんて。
  で、当然相方には報告する訳だ。
  「運命なんかね」
  「いや、偶然でしょ。きっと」
  「そうかなぁ」
  「そう言うロマンの欠片なんて一つもないし」
  「んー」
  と、二通の文書をつき合わせて眺めていた相方の
表情が変わった。一瞬の緊張、そして訳知り顔なニ
ヤニヤ笑い。
  「いやァ、これはねぇ」
  「何よ」
  「うちらの仲まで織り込み済みだと仮定したら、
必然だったのかもね」
  「はえ?」
  「この二人、そう言う仲だったらしいよ」
  「……一寸待て。そう言う仲でなんで子孫が続く
んだよ。妻子ありでそうなったとでも?」
  「双方ともに養子を迎えたらしいね」
  「…はァ、さいで」
  それにしても一寸想像し難い図だ。越後屋とお代
官と言われて浮かぶ年恰好でそう言う仲…それは美
意識の問題も何処かで噛んで来ないか?
  「もしかして、余り深く読み込んでない?」
  「うん。大筋の所しか」
  「やっぱりね」
  「何か関連記述が?」
  「うん。この二人、元服前からそう言う仲だった
らしくてさ」
  「と言う事は銀婚式は確実?」
  「ドンピシャ。だからこれを期に、と言う話にな
ったらしい」
  「なんか良い話やね」
  「そのお陰でこうしてうちらもいるんだから結果
オーライだね」
  その後彼の手解きで読み込んだ古文書に曰く、金
の問題で後々腹を探られて取沙汰されては互いにそ
う言う心にまでひびが入る。だから普通の袖擂り合
う仲にまで戻ろうと決めた…とあった。だから俺と
相方は他人として出会ったのか、と考えると色々複
雑な気持ちになる。
  
  そう言う事が何故サフランライスに繋がるかと言
えば、相方の一言がきっかけ。
  「実際みても見事な色合いだね」
  「食欲がそそられるな」
  「山吹色のご飯でございます、か」
  その一言が変にツボに入った。濁点の位置が違う
だけでこうなるかと。
  「二人で笑ってこう言うものが食えるってのは、
幸せなんだねぇ」
  上戸から復帰してのしみじみした一言。
  「まあ、サフランライスはあくまで外御飯、と言
う事で」
  「大丈夫、皆まで言うな」
 その為に今日はスーパーでターメリックを買った
んじゃないか、と目配せ。黄金色が活きるには繋が
る所が大事だから。
                 【了】

○●○

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて戴きま
す。次号配信まで、御機嫌宜しゅう。

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以下前号(6月10日配信号)より継続の事務連絡にて。

配信スタンドが5箇所から4箇所となりました。
これは1箇所の運営形状変更に伴うものです。

また、website『仇花の記憶』が移転致しました。
これはCOOLサーバ運営終了に伴うものです。

以上、奥付の通りよろしくお願い致します。

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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第八巻拾弐回 2011.6.25発行

文責:葡萄瓜XQO
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