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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第二回  やおいと「男」の距離(一)
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
では、ゆるゆると雑談をさせて戴きましょう。

今回のお題、筆者にとっては全く他人事では
御座いません。正しく男の身でありながら、
やおいの世界に身を置いて幾星霜。その間に
見えて来た様に思う事柄も未だに雲を掴む様
にしか思えない事柄も御座います。
なるべく堅苦しく無い様にに紐解いていくつ
もりですので宜しくお付き合いの程、お願い
致します。又、回を重ねる見込みでも御座い
ますので、悪しからず御了承下さいませ。

さて、先ず一つ短絡した思考について一つ触
れねばなりません。
一部やおい愛好家の皆様は『やおい好きな男
=ゲイセクシュアル』と短絡して思考し、嫌
悪感を露わになさっている様で御座いますが、
これば微妙に視点のずれた考えであると申し
上げておきます。
そもそもやおいという作品形態は、かつてゲ
イセクシュアルの方々には歓迎されておりま
せんでした。今でも諸手を挙げて歓迎なさる
方は少ないかと思われます。
ゲイセクシュアルの方々をやおいの素材扱い
したり性愛の生き字引扱いしたりと言う事例
(雑誌投稿ネット風聞その他)が多くなれば、
好意的に思われる方が無理と言うもの。
で、この点を踏まえますとやおい男=ゲイと
言うのは先ず思い込みであろうと言う事にな
るのですね。とりあえず申し上げておきます。
過去にゲイセクシュアルの方からやおい陣営
に対して論争を申し出られた事例もあったと
言う事も申し添えて置きます。(註1)
まあ、この点に関しては外部でも相当に誤解
と錯覚をなされている方もおいでの様ですの
で。資料に基づいて理解して下さいと申し上
げたい反面、理解される気が無いならば放置
をお願いしたい気持ちでもありますが。

さて、やおい好きな男と聞いて筆者が即座に
連想しますのは栗本薫・著『タナトス・ゲー
ム』と言う小説で御座います。(註2)
賛否両論はございましょうが、この話の中に
登場するやおい好きな男の描写は、ある意味
正鵠を得ていると申し上げざるを得ません。
推理小説に分類される以上隔靴掻痒詳細は割
愛せざるを得ませんが、一読すれば確かにそ
う言うやおい好きを自称する男は居るものだ
と頷かざるを得ません。
せめて一点だけ…多分本筋とは微妙にずれた
点だからこれは申し上げても良いでしょう…
申し上げますと、この登場人物はやおいの理
解者を自称する事によって一種の優越感を感
じていた、様でございます。
経験論から申し上げれば、やおいという世界
に於いては『男である』と言う事はそう大し
た価値を持たないと思うのですが。精々が幾
つかの局面に於いて我が身をサンプルに出来
ると言う、その程度の価値しか無い様に感じ
られます。
むしろやおいの世界の住人を続ける為に必要
なのは萌え心とそれに対するバランス感覚に
尽きると思うのです。そこに、男女差が生じ
るとはとても思えません。
と、申し上げはするものの、これはあくまで
理論的なお話。心情的には性差の壁でも持ち
込まないとやり切れない時もありましょう。
やおいの成立過程から考えると、現時点でさ
えまだ『やおい男』は存在し易くなっている
のですから。女性達の温情によって。

では、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせ
て戴きます。次号まで、御機嫌宜しゅう。
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註1
『やおい論争』の事。
WEBサイト『蜜の厨房』に概略及び参考書一覧
提示あり。
92年から4年に渡って続けられた論争であるが、
この論争から未だに何も学んでいない学究もい
らっしゃる様である。
筆者でさえ学び取るものがあったと言うのに
(苦笑)

註2
講談社文庫(02年7月刊行)
⇒親本も講談社(99年7月刊行)

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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第二回 2004.1.20発行

文責:葡萄瓜XQO
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