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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第四回  やおいと「男」の距離(三)
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
では、ゆるゆると雑談をさせて戴きましょう。

あくまでも今までを振り返っての愚考でありま
すが、やおい男は萌えを語る際に自分を攻…所
謂男役/挿入する側に擬した会話を進行させる事
に何ら疑問を抱かない様で御座います。この流
れはショタに於いても何ら変わる事が無い様で
して、自分が挿入される側=受になったと想定
して萌えを語るという例は殆ど在り得ないです
ね。
確かに普通、自分の体内に異物を挿入されて快
感を覚えるという事は受容器官が発達していな
い限りは想像出来ない事でしょうね。ましてや
やおいにせよショタにせよ受が攻の肉体を受け
入れるのは普通排泄器官として用いている部分
です。それを拡張するなり解きほぐすなりして
受容器官に模した働きをさせようというのです
から、現実には一苦労する事かと思います。江
戸時代の文献(註1)によりますと往時買春を
生業としていた陰間(役者見習の少年)の後門
を拡張する為には時間をかけてゆっくり仕込ん
でいったと言いますし。彼の『稚児草子』(註2)
の描写でも後門で肉体を受け入れる為には入念
な下準備が必要と説かれています。
と、ここまで書くと「やおいショタはフィクシ
ョン云々」という反論が聞こえてきそうな気が
致します。ですがフィクションだからこそ現実
の役割から離れ、受け入れる側になって愉しん
でも良かろうに…とも思うのですね。

多分、やおい男の内面に於いては「抱かれる」
=「男を受け入れる」=ゲイと言う公式が意識
無意識に関わらず根付いているのではないかと
思うのです。ですから時に彼等の一部はゲイに
対しあからさまな嫌悪感を覗かせます。その様
子は生理的嫌悪と言うよりはゲイに対し「男好
き」の責任転嫁をした上で世間の好奇の目の生
贄にしている様な感じです。
差別意識は無いと公言する人もいますが、だか
らと言って彼等の目が公平かという保障もあり
ません。やおい黎明期から存在した自称おこげ
達の様に、ゲイと付き合いのある事をファッシ
ョンの一部にしていないとは、哀しきかな断言
できませんし。
フィクションに於いてやおい≒男同士のエロで
はありますが、男同士の性愛=やおいではあり
ません。単に女性を何でも受け入れてくれる理
想の受に入れ替えただけでは、やおいは成立し
ないのです。どうもやおい好きな男性はその辺
を時々取り違えている様な気がしてなりません。
男というしがらみを一度外した方が、やおいを
より愉しめると思うのですが。
理想的な受手は、それこそ理想的な攻手の存在
無くしては成立致しませんしね。

では、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせ
て戴きます。次号まで、御機嫌宜しゅう。
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註1
「女大楽宝開」貝茎先生著に記述あり。

註2
鳥羽僧正作と伝えられる現存する日本最古の
同性愛を描いた絵巻。稚児草紙と表記される
事もあり。
現存で知られるのは京都・醍醐寺三宝院秘蔵
のものとの事。 
『夜想15』【特集:少年】(ペヨトル工房/95.
7.14第6刷)に詞書全文及びモノクロ図版が、
又、『浮世絵グラフィック6 艶色説話絵巻』
(福田和彦:著/KKベストセラーズ/92.5.5初版)
には『稚子草子絵詞』という題にて詞書全文
及び全図版を原色で収録。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第四回 2004.2.10発行

文責:葡萄瓜XQO
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