★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 ☆ 第十五回 YAOIとやおい ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 御機嫌よう。葡萄瓜でございます。 では、ゆるゆると雑談をさせて戴きましょう。 最近、とみに海外の方がネット経由で日本のや おいショタサイトに訪問される事が多くなった 様で御座います。 平和的にROMとして訪問されるならば問題は御 座いませんが、一切日本語を習得しないままに (甚だしきは翻訳エンジン使用の努力も無しに) 強引なコンタクトを取られようとされるのには 些か苦笑を禁じ得ません。 その割にYaoi,Shota,Hentai,Kawaii,Otaku等は 其の侭の発音で言葉として流布しており、中途 半端に言葉を輸入して悦に入るのは、何処の国 も同じなのかと苦笑を覚えたりもしてしまいま す。Yaoiに至っては女性専用という認識からか YaoiGirl,YaoiGoddessという定型句まで成立す る始末。この2つは海外ではハンドルとしても 使われております。寧ろ、尊称としての趣きも 御座いますが。(註1) さて、このYaoiなる言葉。指し示す内容は実に 幅広い。本邦の『やおい』とは現在『青少年以 降の男性同士が愛を交わす虚構表現』と凡そ解 釈され、その用法に限定されている感じがあり ますが、海外のYaoiとはそれだけに留まらず、 同人活動全体を包括して表現する場合も御座い ます。又、時には(方便はどうか判りませんが) ゲイコミックの一分野と呼称される場合もある 様です。(註2) これは、文化の違いという事も有りましょうし、 表現伝播の上の早合点もあったと思われます。 やおい=性表現と短絡し、性表現が濃厚な作品 が優れたものという思い込みが生じた部分があ ったのでしょう。本当は性表現の他にも心理表 現等が絡み合って本邦のやおいの独特な雰囲気 が醸し出されているのですが。 肉体のぶつかり合うスポーツのようなYaoi…健 全な倒錯、とでも申し上げましょうか。躍動感 は感じられますが、妖しい愛の雰囲気はと言う と少々難しいかと思われる事が暫し。 一部の描き手にとっては芸術的表現よりお手軽 に性器描写が出来る故の方便なのでしょうか? だとしたら性器描写の優先・誇張にもある程度 納得出来るのですが。 アメリカンコミックを題材にしたYAOI(註3)を 見る機会が多ければまた違う見方をする事も出 来ましょうが、現時点で筆者が理解する範囲で は男同士の肉体的な絡み=YAOIという見解が大 部分の様な気が致します。違う作品のキャラク ター同士を一つのパロディーに混在させて平気 で絡ませたり(註4)もしますし。 YAOIという表記、もしかしたら本邦から輸出さ れたのではないかと思わせる傍証が一応ありま す。『DEEP』VOL.5 1994 Summer(ミリオン出版/ 94.9.10発行)掲載の鼎談(参加:高城響・栗原 知代・松殿典子)文中、高城響女史が『YAOI』 記述を提唱する一幕があるのですね。ただ是は 筆者も資料を再見するまですっかり忘れていた 史実です。一応こう言う事もあった、と言う事 で提示しておきます。 そういえば同じ鼎談中でやおいとは『特定のジ ャンルを指すのではなく作品の状態を表した言 葉である』(大意)との指摘もありましたので、 その点から見るとYAOIが動詞化・形容詞化され ている現在の海外の状況こそがやおい黎明期の 頃の本邦の姿である、と言えなくもないですか。 過去を振り返ると何とも言えない気分になる時 がありますが、正しくそういう気分です。 何時かは正しくやおいとYAOIの相互理解をした いものです。折角毎年サンフランシスコでYAOI -CONなるイベントが開催されているというのに。 でも、聞き及ぶ限りそこにも少しだけ誤解が入 り混じっているとか、いないとか。 道はまだ遠いのかも知れません。 さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて 戴きます。次号まで、御機嫌宜しゅう。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 註1 その他にも日本人の名前がそのままハンドルに 使われる事がある。 その割に日本語を操って交流を図ろうとする人 がいないというのも面妖な話だ。 註2 かつて『GayYaoiAndMore』と言うイラスト投稿 サイトが実在した。 2001年初頭より2004年初頭まで存在を確認済。 註3 ディズニー作品を題材にしたやおいは御法度と いう事で本邦では自粛傾向にあるが、海外サイ トでは少なからず存在する。やおいテイストの みならずゲイテイストのものも存在する。 その他「X-MEN」「バットマン」「THE SIMPSO- NS」等もパロディーの題材になっていた。 註4 クロスオーバーと呼ばれる手法であり、海外ド ラマ制作上で用いられるとの事。但し、ドラマ 制作上では何処かに必ず関連性があって2つの 作品が結ばれるがYAOIに於けるそれの関連性は 多分第三者には見出せない。 甚だしい例ではディズニーのキャラクターと日 本アニメのキャラクター(共に人間ではない) が絡んでいたというものがあった。 *YAOI-CON公式ページ http://www.yaoicon.com/ ======================= 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 第十五回 2004.5.31発行 文責:葡萄瓜XQO website:『仇花の記憶』 http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/ mail:xqo_gm@yahoo.co.jp このメールマガジンは melma! http://bbs.melma.com/cgi-bin/forum/m00090840/ メルマガ天国 http://melten.com/m/14637.html Mailux http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533 Macky! http://macky.nifty.com/cgi-bin/bndisp.cgi?M-ID=xqo メルカップ http://www.melcup.com/cgi-bin/magazine/magazine.cgi?mag_id=M000000737 マガジンすきやねん http://www.sukiya-nen.com/sys/m.cgi?id=xqo のシステムを利用して発行させて戴いています。 ご意見ご質問等はWebサイトBBS http://bbs.infoseek.co.jp/Board02?user=bxqo にて承ります。 又連動BLOG「ショタやおい雑記」も運営しております。 http://blog.melma.com/00090840/ こちらも宜しくお願い致します。 バックナンバーはサイト内にて公開しております。 再配信ご希望の場合はお手数ですがメール若しくは BBSにてご用命戴ければ幸いです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆