★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 ☆ 第六巻弐拾参回 表裏の距離 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 御機嫌よう。葡萄瓜でございます。 さて、つらつらと綴って参りましょうか。 今回は腐女子を主役に据えた二つの作品を比較 し、腐女子の立ち位置を考えてみる試みを致そ うかと。 サンプルとして用いるのは以下の二作品です。 「電脳やおい少女」(現行:二巻) 中島沙帆子・竹書房 1999(掲載開始)〜2003(単行本二巻現在) 「妄想少女オタク系」(現行:五巻) 紺條夏生・双葉社・2004(掲載開始)〜 前者は余り言及されませんが、一般誌と言う場 において腐女子の生態を題材にした漫画の嚆矢 ではないかと筆者は認識しております。 四コマ漫画と言う形態ですので着目も拡散もし 難かった可能性がございますが。 さて、この二者を比較すると言う行為は実際の 所公平ではございません。時代背景も登場人物 達が置かれた状況設定も違うのですから。そこ を敢えて比較しようと試みるのは、腐女子と世 間との距離とそこに潜む感情について「妄想少 女オタク系」をきっかけにして一寸考える所が 出来たからでございます。 「電脳やおい少女」は読んで字の如く、ネット を中心にした腐女子の物語です。もっと率直に 言えばネットから同人の世界に入り込んだ読者 の物語、いわゆる読み専の話です。主人公は妄 想を抱いてはいますが自分から作品として出力 する事はございません。主人公にとってやおい とは拠り所であり、同好の士と会話し交流する 為のツールなのです。 それは同人作家さんと接触を持って以降も変わ りません。あくまで彼女は読み専のまま。 対して「妄想少女オタク系」では妄想を抱いて いた主人公が同好の士である友人と邂逅し、そ して同人作家としての道を辿って行く物語です。 彼女の場合ネットも手段として用いられますが それはあくまでも手段の範疇であって拠り所で はないと思われます。 同好の士あれば反目する人もいる、と言う事で 両作品ともに石を投げる役回りの登場人物が一 名ずつ登板します。 しかしその在り様は実に対照的です。 「妄想少女オタク系」に登場する彼女は主人公 の立ち位置を否定しつつ成り代わりたいと無意 識に念じ、自分の力で主人公に取って代わるの ではなく他力本願で願望を満たそうとします。 彼女は主人公の鏡像の様に見える設定なのです が実際の所は出力形態を変えたクローンに過ぎ ぬ、と読者である筆者からは見えます。むしろ 主人公より余程深みに嵌っているかも知れない。 しかし筆者は彼女に一切の共感を持つ事が出来 ないのです。何故かは後述します。 さて「電脳やおい少女」の彼は主人公の趣味を 否定し続けている内にその趣味に好奇心をそそ られてしまい、そして取り込まれ主人公に反発 しつつ同化している最中と言う過程を辿ってい ます。しかし彼は自分がそう言う風になった事 を最終的には自己責任であると納得しているか に見えます。 彼は主人公の恋人の友人と言う立場にいる為こ の運命に巻き込まれてしまった訳ですが、この 運命を結構楽しんでしまっている様です。 現代で言う所の腐男子への道を彼は歩む様に導 かれてしまった訳ですが、その事について彼は 殆ど主人公に責任転嫁をしないのです。むしろ 主人公を頼る様にさえなっている。しかも自分 の意思で。 はい。この部分です。筆者が後述しますと先程 措いていた部分は。 「妄想少女オタク系」の彼女は、どう贔屓目に 見ても自分で責任を取った行動をして居ないの です。何時でも誰かに責任転嫁をして自分の保 身に走ろうとしているのです。恐らく彼女は主 人公に成り代わったとしても自力で落とし前を つける事はないでしょう。腐女子である事も誰 かの所為にし続けるでしょう。 時代背景も構成も、また着地点も違う物語をこ う言う風に比較し言及する事自体ナンセンスで あるのやも知れませんが、筆者は自分の意思で 「腐る」事を選んだ人間として敢えて言及して おこうと考え、拙いながら出力しました。 「妄想少女オタク系」の彼女がこの先、自己責 任で何かをきちんと選択する様になるのであれ ば、筆者は彼女を同志として認めるかも知れま せん。 しかし今の彼女を筆者は好みません。読み専以 下の責任すら持とうとしない彼女を。 さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて 戴きます。次号配信まで、御機嫌宜しゅう。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ ======================= 仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜 第六巻弐拾参回 2009.12.10発行 文責:葡萄瓜XQO website:『仇花の記憶』 http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/ mail:xqo_gm@yahoo.co.jp このメールマガジンは melma! http://www.melma.com/backnumber_90840/ Mailux http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533 おしらせメールサービス http://www.marine.ne.jp/mm/user.asp?id=75297 Yahoo!メルマガ http://merumaga.yahoo.co.jp/Detail/17353 まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000270330.html のシステムを利用して発行させて戴いています。 ご意見ご質問等はWebサイトBBS http://otd11.jbbs.livedoor.jp/adabana/bbs_tree にて承ります。 又連動BLOG「ショタやおい雑記」も運営しております。 http://xqosy.seesaa.net/ こちらも宜しくお願い致します。 バックナンバーはサイト内にて公開しております。 再配信ご希望の場合はお手数ですがメール若しくは BBSにてご用命戴ければ幸いです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆