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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
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第九巻弐拾弐回  小説「三択、時々プラス1」
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2011年3月11日に発生しました東北地方太平洋沖地震
(東北大震災)にて罹災した皆様方に心からお見舞い
申し上げます。
居住地の差異の為たまたま罹災しなかった筆者に
出来ます行動は限られておりますが、幾許かが皆様の
潤いに繋がりますならば幸いです。

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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
小説配信回、お楽しみ戴ければ幸いです。

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 三択、時々プラス1
                  XQO
                              
 「今年は何処にする?」
  そう言えば決まってなかったよな…とついつい現実
逃避モード。どこにするったってなぁ…選択肢は限ら
れてるでしょ?
  「あの店が良かったからもう一度…と言うのは駄目
?」
  「選択の結果としてはありだけどね」
  あ、目が笑ってない。じゃ、これ以上はぐらかすの
は止めよう。でもささやかな抵抗は試みる。
  「リセットした上の選択は…」
  「僕のくじ運を知っててそう発言するのかな?」
  うん。ごめん。微妙に力が入った親指を納めてくれ
ないか?そのマグカップ、探すのに難儀するひと品な
んだよ。
  
  この頃合いに最低限一度は赤・緑・白を配色した国
旗を持つ国の料理を食する、と言うのはどちらが言う
ともなく始まった僕達だけの習慣だ。何時からかと言
うのも定かに覚えていないがもしかしたら正式に付き
合う前に既に始めていたのかも知れない。そう言う何
となくなこだわり。
  ただし条件が一つ。あくまでも色のみを配置した国
旗を選んでいる。それでさえある意味無神経なのかも
知れないが、せめてもの一線という事で。
  で、そうなると範疇は自ずから絞られて来てしまう
訳で。だから外食は止めて自分達なりに再現して食卓
を囲もうと一昨年からルールを若干変更して今日に至
っている。二人とも外食の為に一日時間を空ける事が
難しいと言う生活をしている事でもあるし。
  この条件下で行う食事は、率直に言うと実に愉しい。
時間や空間の制限を気にせずに味わえるし、作ってい
る最中も何かしらお互いに対して発見がある。まだ知
らないお互いを距離感を保ちつつ知る事が出来る。そ
して、異国文化についてしゃちほこばらないで接近す
る事が出来る。
  ……基本的には二人で食べれば何だって美味しいし
豪勢にも感じるというバカップル精神なんだけどね。
それを家事に取り込んだ方が節約にもなるでしょって
話で。
  そう言う習慣に今年は嬉しいおまけが先日ひょいと
加わった。二人の休暇がほぼ二四時間ぴったり重なる
一日が発生したのだ。これは素直に嬉しい。
  で、それならばと久々にお揃い外食と洒落込もう、
と検討を始めたんだけど…こう言う時に限って中々良
い店の空きがないと言うこの現実。まあ、無理がある
のはスケジュール決定の時点で百も承知。以前の外食
なんざ予約段階から策を練りに練ってと言う感じだっ
たし。
 何しろ三色縛りだ。実行してる片割れが言うのも何
だが選択肢が限られるのは仕方ない。だから先ず取り
扱いのある店の有無を探す所から計画は始まる。ここ
で一番ポピュラーな所・無難な所で妥協して、なんて
どちらも言い出さないのがこの二人の悪い所だ。単純
に食い意地が張ってるだけなんだけどね。
  「ここ二年で増減なし、か」
  「微妙な気分だね」
  「減らなかった事を喜ぶべき、なんだろうなぁ」
  「かもね。でも選択が困難な事には違いない訳だ」
  リストアップした紙のあっちとこっちで苦笑い。こ
れを一週間繰り返しているんだから世話ァない。
  いっそ溜まった休みを一気に取得して現地に逃避行
…と血迷いかけてお互いに引き止め合う瞬間も幾度か
あった。うん。判ってる。この時期にそれをするって
のは確実に尾を引くから。判っているけどいっその事
と考えてしまうのはそれだけ煮詰まってるんだろうな。
  「あれ?」
  「ん?」
  思わず相方の持つタブレットを覗きこむ。斯くして
そこにあったのは…。
  「メインではない訳か」
  「でも扱いはあるんだね」
  「どうやらそれなりに定評もある、と」
  「これは盲点だったね」
  「トライする?」
  「当然」
  予約画面を呼び出すのももどかしいらしく、相方が
電話をかける。最初は冷静だった声が段々上ずってく
る。
  「……予約、確定」
  深い息と共に告げられ、そして二人して気が抜けた
様に笑う。
  まあ、これで今年も良い感じで見送る事が出来そう
だ。金色の酒で前祝いと洒落込もうかな。極々軽く。
                    【了】

○●○

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて戴きま
す。次号配信まで、御機嫌宜しゅう。

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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第九巻弐拾弐回 2012.11.25発行

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